スパコンの熱暴走により、OZ内に作り上げた特設塔が崩落を始めた

逃げまどうアバターの中、カズマは空中を凝視する


そして塔から巨大な手が飛び出してきた

カズマは目を見開き、固まる



巨大なその手は、塔全体をも飲み込んでいく、ラブマシーンのものだからだ

次第に塔全体がラブマシーンに吸収されていく




≪これ、全部吸収されたアバターだ!その数…4億以上!




全てを吸収したラブマシーンの魔の手が、カズマに襲い掛かる

だがカズマは恐怖からか、身動き一つ取れない





「佳主馬君!逃げてっ!佳主馬君っ!」



健二が必死に声をかけるも、彼は目を開いて呆ける





ラブマシーンはカズマを手中に納めると、遥か彼方へと投げやった

勢い良く投げ飛ばされたカズマ



≪……っ……≫



それをナギが、何とか受け止めた

だがその衝撃は半端なものではなく、ナギもろとも壁にのめり込んでしまう





「ぁ…ぁ…」



俯き、肩を震わせる佳主馬

室内はシンと静まり返る


そこへ氷柱を運んでいた翔太が、ひょっこりと顔を出した



「この暑さでばあちゃんが腐っちまうって時に、お子様は呑気にゲームかよ」

「お前のせいだ…」

「はぁ!?何だって?」



佳主馬の呟きに、翔太は眉を潜めながら近付く



「お前のせいだっ!」



佳主馬は叫ぶと同時に、翔太を殴った

それを見た健二は、慌てて彼を止める


でないと、彼は更に翔太を殴ろうとしたからだ



「お前のっ!」

「佳主馬君!止めなよ!」



太助も急いで、佳主馬を止めに入る


佳主馬の拳は翔太の鼻を直撃、彼は吹き飛ばされながら悶絶していた



「何なんだよ!」



鼻血を出しながら、翔太は叫ぶ

凪は目を細め、何かに堪える様子だった



「翔太兄ぃ、大丈夫?」

「うるへーっ!てめーに"翔太兄ぃ"とか言われたかねーし!

お前らが来てからロクな事がねーよ!夏希はバカだしよ!ばあちゃんは死ぬしよ!佳主馬には殴られるしよ!」



健二と太助に押さえされながらも、佳主馬は怒りが収まらずに暴れている



「翔太兄ぃ…」

「全部てめーらのせいだ!さっさと東京に帰りやがれ!!」

「翔太!何て事言うんだ!」



彼の言葉に、佳主馬を押さえながら太助が吠えた


不意に凪がゆっくりと、翔太に視線を向ける

その瞳は冷たく、厳しいもの



『…翔太、てめぇもう一発殴ってやろうか?』


「っ!」



彼女の冷え冷えとした、低い声色に翔太は肩を震わす

そして室内にいた誰もが、目を見開く



『いい加減にしな!それでも陣内家の人間かい!?しゃんとしな!』

「…大おばあちゃん?」



凪を見ていた真緒が、ポツリと呟いた



『物事全てを自身の尺度で考えるな!周囲を良く見ろ、それでも成人男子か!?』



彼女の括に、翔太は言葉を無くす



≪な、何だ!?≫

「えっ?」



佐久間の悲鳴に似た声に、皆が画面に振り向く


彼等が見たものは


画面全てに映っているワールドクロック

だがそれは正常ではなく、でたらめな数字を刻んでいる



それは佐久間の所でも同様で



「ワールド…クロックが…」



その様子を健二達も、目を見開いて凝視している



「…狂ってる…」



そして彼等が見守る中、ワールドクロックは次第に止まり始める

そして…最終的に

【02:10:00:00】


と表示され、逆に時計が回り始めた



『…これ、は…』

「何の…カウントダウンだ?」




***
翔太の台詞、漫画版を加えました
しかし戦闘場面は難しい…




[モドル]


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