久遠寺高校、物理部室
佐久間も笑みを漏らしていた
「袋の鼠だ。後は煮ようが焼こうが…」
だがPCから機械音が鳴り響くと、同時に画面に【Error】の文字が
【Error】の文字は次々と増えてき、瞬く間に画面を埋めてしまう
「なっ、何だこれ!?」
佐久間のPCの異変と同調するかの様に、OZ内でも異変が起き始めていた
ラブマシーンを閉じ込めた塔の端々が、徐々に崩れ始めている
いや、塔の端々だけではない
全体が崩れ落ちていた
『……ステージが可笑しい……』
その現象に凪も気付き、訝しげに目を細める
「な、何で!?」
彼女のPCを覗き込む健二達の顔色に、焦りが浮かぶ
「どうなってんだ、これ!?」
『……まさかっ!?』
彼女が目を見開いた瞬間
≪太助さん、後ろっ!≫
佐久間が画面に張り付きながら叫んできた
「後ろ?」
皆が背後の、スパコンのある部屋に振り向く
太助は急いで立ち上がり、冬用の襖に手をかけた
「何?」
『太助さん、待った!』
「へ?」
凪が太助を止めるも時遅し
襖を開けた彼を襲ったのは、膨大な熱気
「うわぁぁぁ!?あちぃ!!」
『熱暴走だ!だからステージが崩壊しかけてるんだ!』
彼女の言葉に誰もが、目を見開いた
「えぇ!!?」
皆はスパコンの部屋へと、直ぐに向かい
凪と理一だけ、PCを凝視している
スパコンの周囲には、ある筈の大量の氷柱の姿が、忽然と消えていた
「凪、どうにかならないか?」
理一の言葉に、彼女は表情を顰める
『この計画事態、スパコンがあってこそ可能だったんです…今OZのメインサーバーが使えない以上、スパコン無しでの状態保持は、難し過ぎます』
「……そうか……」
スパコンの周囲を、太助は戸惑いながら見渡す
「ここにあった氷は!?あんなに沢山あったのに!!」
そこに向かいの襖が勢い良く開いた、子供達だ
「翔太兄ぃがもってったよ」
「「「「何ぃ!?」」」」
真緒の言葉に四人は絶叫し、凪には青筋が立つ
『……あの阿呆が』
風鈴の音が響く
「よいしょ、っと」
栄の周囲には、あのスパコンの周りにあった筈の大量の氷柱が並ぶ
「涼しいかい、ばあちゃん?今日は最高気温更新らしいぜ」
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