OZ内ワールドクロックが、時を刻む
―Log in―
キング・カズマが、特設闘技場の中央に降り立つ
その姿は以前のグラフィックと異なる
彼の周囲に、佐久間のアバターが警戒する様に飛び回ってた
≪…来る、かな?≫
≪来る。奴は必ずな≫
特設闘技場の端に、ケンジ達は固唾を飲んで見守る
不安げに呟いたケンジの言葉に、ナギは迷う事なく断言した
そして時は、指定した12時を刻む
瞬間、ワールドニュースが背後に広がる
時刻が過ぎても、ラブマシーンは現れず
だが彼の頭上に、一つの陰
その陰は勢い良く、衝突して砂塵を舞い起こす
砂塵から現れたのは…ラブマシーンだ
≪来やがった!≫
直ぐ様サクマは、離れているケンジ達と合流する
ラブマシーンがカズマと組み合い始めたからだ
≪汚いね、不意打ちなんて≫
ナギが忌ま忌ましそうに呟く
カズマとラブマシーンの戦いを、建物の影から野次馬が覗く
皆、取り込まれるのを恐れているのだ
激しく、早い攻防が続く
ラブマシーンがカズマと距離を取り、大きく足蹴りをする
が。カズマは素早くかわし、腹部に蹴りが直撃
≪≪よっしゃあ!≫≫
≪は、早い!凄く早い…≫
離れているケンジ達は歓喜し、サクマは目を見開く
だがラブマシーンも黙ってはいない
直ぐに起き上がると、カズマに襲い掛かる
容赦なく攻撃するラブマシーンだが、カズマは上手くそれを受け流していく
そして攻撃してきた足を瞬時に掴み、強烈な殴打と回し蹴りを喰らわせる
ラブマシーンはまともに受け吹っ飛び、カズマは再び構えた
モニターを睨む佳主馬は、僅かに口元を上げる
「(いける…!)」
立ち上がるラブマシーンに、カズマはわざと挑発をかけた
だがその挑発に乗る事なく、ラブマシーンは一歩後退すると空中へと飛ぶ
カズマもそれを追い、空中へと飛んだ
≪逃がすな!≫
≪ポイントに誘い込んで!≫
≪こんな奴、僕一人でっ!≫
彼等の戦闘区域が空中になった事で、建物の影に隠れていた野次馬が散らばる様に逃げてく
そんな彼等をラブマシーンは叩き落としながら、カズマは避けながら進んでいた
数々のアバターをかい潜り、カズマがラブマシーンに蹴りを食らわす
まともに受けたラブマシーンは、OZ内の建物に直撃
するとあろう事か、建物の一部をラブマシーンはカズマに向かって投げた
だがそこはカズマ、見事に避け切る
ラブマシーンは次第に車等大きな、カズマの視界を遮る様な物まで投げる
流石にそれに避けきれなかったカズマは、蹴り飛ばしていく
だがいきなり、真横からタワーの一部が彼を襲う
良く見るとソレを操るのはラブマシーンではなく、見慣れぬアバター
背後からも同じ様な攻撃がやって来て、カズマはビルに挟まれてしまう
≪≪あぁ!≫≫
≪盗まれたアバターを操っている!≫
≪…にゃろう…≫
リイチの言葉にナギは目を細める
≪そんな事が出来るのか!?≫
必死にビルの隙間から、はい出るカズマが見たのは
アバターが光の球状になり、ラブマシーンの背後にある円陣に吸い込まれる様
≪いけない!カズマ君!逃げて!≫
ダメージ事態は殆どないものの、ビルに挟まれて身動きが取れない
次第にラブマシーンが、カズマに近寄る
≪キェェェッ!≫
≪やらせるか!≫
そこへ黒頭巾を被ったアバターと、漆黒の翼を羽ばたかせた女性アバターが現れる
マンスケとナギだ
マンスケはそのまま、ラブマシーンへ体当たりする
ナギは何処からともなく日本刀を出し、タワーの一部を一瞬にして斬り落とす
体当たりをしたマンスケは腰に装備している刀を抜き、ラブマシーンに切り掛かる
「師匠!?お姉さん!?」
『サポするったろ!』
「今の内に、逃げろっ!」
万助は小型ゲームで、凪は素早くキーボードを叩いてアバターを操作していた
≪おりゃ!おりゃ!おりゃ!≫
素早く刀を扱うマンスケだったが、ラブマシーンの一撃で遠くに吹き飛んでしまう
その隙をナギが見過ごす筈がなく、容赦なく切り掛かる
≪うわぁあぁぁ!≫
≪マンスケさん!…っ!≫
ラブマシーンとナギとの、激しい鍔ぜり合いが続く
≪師匠!≫
漸くビルから抜け出したカズマは、吹き飛んだマンスケを見る
≪良いからポイントに誘い込めっ!≫
≪っ!≫
暫く続いた二人の鍔ぜり合い
だがラブマシーンによって刀を吹き飛ばされたナギは、強烈な飛び蹴りを食らってしまう
≪お姉さんっ!≫
≪良いから早くしな!≫
→
[モドル]