陣内家に地鳴りの様な振動が響く

発生源は太助がリフトで大きな箱を、室内に入れようとしていたからだ



「いや〜入るかなコレ」




ある一室に広げられたのは、大学にある様な立派なスパコン



「太助さんのお店って、こんな物まで扱ってるんですか!?」

「地元の電気屋ってのは、小売りは僅かでね。実は役所や学校の備品受注が大半なのよ」



解体作業を進めながら、会話を続ける二人

その傍らで凪が、自身のPCを世話しなく動かしている



「これも大学に納入予定のやつ」

「えっ!大丈夫なんですか!?」

「大丈夫、大丈夫。借りるだけ、借りるだけ〜」

『…良いのか…?まぁ助かるが…』



次々にスパコンに接続コードを繋いで、設定していく太助

凪は手を休める事はなかったが、呆れながら呟いた



「すみません…でも何で急に?」

「さっき健二君、万理子おばさん達に向かって堂々としてたでしょ?凪さんも。

きっと佳主馬も二人を、見直したんじゃないかな?ウチはどっちかって言うと、女系家族だから男は弱くてさ…」

『…あ、何となく分かるソレ』



苦笑を浮かべた太助に、凪は肯定を示す

すると彼は苦笑を深めた



「ははは、やっぱり分かる?さて電源はと…」



太助がコンセントを持って考えた、その時だ


何かを破壊する音が響いた

太助と健二は急いで廊下に出る



「どいたどいたぁ!!」



その声は間違いなく万助で


門から来たのは船を乗せた大型トラック

どうやら陣内家の門がトラックの高さに合わず、万助は門を突き破って来たのだ


トラックが停車すると、その勢いで太助のリフトまで倒してしまう

すると突然船から強烈な光が、思わず太助と健二は目をつぶる



「「うわっ!?」」

「がっはっはっ!ええだろ、俺の船!新潟からぶっとばして2時間だ!300Wまでカバー出来るぞ!」



烏賊漁師の船は強烈な光で、烏賊をおびき寄せる

だからこそ万助は新潟から、自身の船を持って来たのだろう



「おっといけねぇ!こいつ水冷だった」



万助の船体が中庭の池に放り込まれ、水飛沫が舞う

それを池の水をまともに被りながら、ア然として見る二人



「す…すげぇ…」

『新潟から2時間って…
どんだけかっ飛ばしたんだよ?



今度は逆の方から、迷彩色のゴツい車が入ってきた



「おまたせ」

「何ですか、コレ?」



室内にいた凪だが、車を見た途端に駆け出していた

そして健二の隣に来ると、運転席にいた理一に声をかける



『…理一先輩、もしかして松本の駐屯地から?』



目を瞬かせる凪に、理一は頷いて見せた



「ミリ波通信用アンテナモジュール。

凪の言う通り、松本の駐屯地から借用してきた」



ミリ波通信用アンテナモジュールを見上げる理一に、つい彼女は頭を抱える



「理一さんて…ほんとは自衛隊の何処所属なんですか?」

「ん?」



健二の問いに、運転席の理一は片腕を立てて、口元を上げた



「ちょっと言えないとこ」

「…姉さん…」



横目で健二は自分の姉を見るが、彼女は直ぐ視線を逸らす



『悪い、私も黙秘…』






「ウチって馬鹿な男しか居ないのっ!」



理香達は憤慨しながら、着々と葬式の準備を進める

そこへ子供達が駆け込んで来た



「メカ仏壇!アンテナついた霊柩車!!」

「池に船が落ちたよ!電球ぴっかぴか!」


「バタバタしないのっ!」




これに万理子の雷が落ち、子供達はびっくり



「大人しくしてなさいね」

「「「はぁーい」」」



***
子供達の台詞は漫画から…映画は何言っているか分からなかった(泣)



[モドル]


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