所変わって仮想世界



―Log in―



フィールドの様子見に、ケンジの仮アバターがOZに入った



≪…予想より…進んでる…≫

≪まぁな≫




PC越しにケンジはサクマと会話を続ける




≪…何か随分、閑散としてるね≫

≪何処にラブマシーンが潜んでるか、分からんからな。

野次馬達も身を潜めて、ヤツの動向を窺ってるんだ…お陰で、作業事態はやりやすいよ≫



画面越しの佐久間は何かのファイルを広げては、また閉じるの行動を繰り返す

多分プログラム構築に関する資料だろう



≪これまで選りすぐりの格闘・知能派アバターがラブマに挑んだが、結果は全て惨敗。挑戦者全てのアカウントを奪って、スキルを自分の物にしている。

下手に手を出すだけ、無駄にヤツを強くしちまうって訳だ≫



真剣な表情で健二は、彼の報告に聴き入る



「それでもやるしかないんだ。佐久間、フィールドを書き換える作戦は3時間で出来る?」

≪それは凪さんから聞いてるよ、そっちは俺達に任せなさい。

問題は…OZのメインサーバーが使えないって事だ。凪さんから聞いたがアテがあるって本当か?≫



OZは今や世界規模のコミニュティ

そのメインサーバーとなると、かなり大規模な筈


それが使えないとなると、外部に強力で演算処理能力に長けたサーバーが必要だ



「大丈夫、アテはある。
佐久間はプログラミングに集中してくれて良いよ」



佐久間は感心する様に口笛を吹いて、口を開く



≪こんな強気な健二君、オレ初めて見ちゃったよ。やっぱアレですか、ラブパワー?≫

「らぶ…?」



目を瞬く健二、まだ彼は気付いていない

背後から覗く影がある事を



≪愛しの夏希先輩がこっち見てますよ〜≫

「えっ!?先輩っ!」



健二は驚いて振り向く、その頬はほんのりと赤い



「ご…ごめん、お邪魔した…?」

「いえ、そんな…」



照れつつも健二はディスプレイ前を開ける



≪おはようございます、夏希先輩≫

「おはよ、佐久間君」

≪あの…おばあさまの事、健二と凪さんに聞きました。

オレも全力で協力しますから!健二のやつ、先輩の為にって必死なんですよ!!≫



突然の佐久間の台詞に、赤くなっていた健二は青ざめた



「こいつがこんな積極的なのは、そう無いですからね。

オレとしても親友のいじらしい恋心を無下には…」

佐久間!!
余計な事言わなくていいから…っ



青ざめてた健二の顔色が、今度は一気に真っ赤に

と同時に、彼はPCに詰め寄って叫んだ



「健二君が落ち込んでなくて良かった」



そんな彼を見て夏希は微笑む



「え?」

「ほら、さっきおばさん達にキツク当たられちゃったでしょ?ちょっと心配だったの」

「…おばさん達が言ってる事は、最もです」



彼女の言葉に、健二は眉を下げながら口を開く



「だけどおばさん達には呆れられるかもしれないけど、僕達はラブマシーンと戦います」



彼の台詞を、佐久間はPC越しに黙って聴き入る



「このまま野放しにしておくのは、本当に危険だし。それに…」

「それに?

「ラブマシーンが罪を犯す度に、この家の人達も悲しみます。

開発者の詫助さんも、こんな結果は望んでいなかった筈です」



膝の上で手を握り、夏希は目を見開いた



「…どうして、健二君がそこまで…」

「難しい問題に挑むの、得意なんですよ。
佐久間、そっちに作戦の詳細送るから

「駄目だね私…」



真剣にPCと向き合う健二に、彼女は嘆息する



「健二君に負けそう。私の方がお姉さんなのにね」

「え?」

「恋人のふりなんて、頼んでごめんなさい」



夏希は健二に頭を下げて謝る、これには彼も作業の手を止めた



「でも…今ここにいるのが…健二君で良かった…」

「せ、先輩…」



顔を上げた彼女はそう、健二に言葉を紡ぐ

それに彼は目を見開いて、頬を赤く染めた



≪あの――オレ当てられちゃってますぅ〜?≫



至近距離で見つめ合う二人

そんな二人を画面越しから、ニヤニヤしながら佐久間が突っ込む



「夏希ーっ」

「あ…万理子おばさん、よ、呼んでるから、い…行くねっ」

「あっ、は…はいっ」



遠くから万理子が夏希を呼ぶ声に、彼女は急いで席を立つ

照れからか、健二もあわてふためいていた



≪なになに?すっかりイイカンジじゃね?≫

「そ、そんな事より!
プログラミング頼んだからね!!」




―Log Out―





『(……進展してねぇし……折角気ぃきかせてやったのに……)』



……実は戸口付近にいた凪だったり……



***
健二と佐久間の掛け合いが面白いので、漫画vr,投入



[モドル]


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