そんな彼等へ、OZの続報ニュースが届いた
OZのシステムは復旧したのにも拘わらず、国内で少なくとも200万人のアカウントが使えない状態
「――でもまだ、終わってません」
「ラブマシーンを倒せた訳じゃないしね」
食卓にPCを持ち込んでる佳主馬が、健二の言葉に続いた
それに頷いて健二も、続く様に口を開く
「そう…まだ根本的な問題は、解決してないんです」
「ラブ、マシーン?もーむす?」
「アカウントを奪うAI」
首を傾げる皆に、佳主馬は淡々と語る
PCを食卓に乗せてデータを見れる様にすると、皆が群がる様に画面に食らいついた
佳主馬のPC画面にはラブマシーンの画像が
「何か悪そうなアバター」
「いかにも敵って感じじゃん」
「今日の原因はコイツか」
「でも何で報道されない?」
ラブマシーンの画像を見て、次々と言葉が飛び交う
『時間の問題、ですね』
万助の疑問に答えたのは凪だった
佳主馬もそれに頷いて、続く
「…うん、その人の言う通りだよ師匠。ネットの世界は広いし、気付いてる人はもう行動に移してる。情報を共有して力を合わせれば、止められない訳ないよ」
「シシシシ…残念だが、そりゃ無理な話だね」
突如、佳主馬の言葉を否定する声が上がる
それは離れた縁側で、酒を飲む侘助からだった
「何でアンタが、無理だって分かるんだよ?」
佳主馬も黙っていない、直ぐに彼に噛み付く
「――だってソイツの開発者、俺だもん」
侘助の驚愕の発言に、皆が息を呑む
室内が、水を打った様に静かになる
『(人口知能に知識欲を与えたのか…ふぅん…やるじゃん…)』
ただ一人、凪は内心関心してたが
「ラブマシーンを、作ったの…!?」
「あぁ、俺が作ったハッキング用AIだ」
一方仮想世界では
名高いアバターが、ラブマシーンに次々挑んだ
が、結果は全て惨敗
軒並みアカウントを奪われていた
「俺がやった事はただ一つ、機械に物を知りたいという本能――
【知識欲】を与えただけだ。
そしたらあちらの国の軍人がやって来て、実証実験次第では高く買うって言うじゃないか…まさかOZを使った実験とは思わなかったよ。
だがどうだい?結果は良好。奴は本能の赴くまま世界中の情報と、権力を蓄え続ける。
今や奴はたった一体で、何百万の軍隊と同じだ。
良い?勝てないのは、そう言う訳」
彼の言葉に、皆が言葉を無くす
「今日、どれだけの人が被害に遭った?」
レスキュー隊員の克彦が絞り出す様に、口を開いた
「どれだけの人に迷惑をかけた!?」
「うるせぇ、AIが勝手に…」
「あれのせいで世の中目茶苦茶になってんだぞ!?」
侘助の言葉に、消防士の邦彦が吠える
「分からねぇ奴らだな、AIが…」
途端に克彦が、侘助の胸倉を掴み上げた
「子供みたいに言い逃れすんのかよ!知らぬ存ぜぬじゃ通らねぇぞ、コラ!」
「やめろ克!」
それを頼彦と邦彦が止める
「だから、俺はただの開発者で!AIにあーしろこーしろって言った覚えはねぇの!」
「二人共止めろっ!ばあちゃんの前で!」
頼彦の言葉で、侘助は栄に振り返った
「侘助」
厳しい表情の彼女に、侘助はゆっくりと歩み寄る
「…ばあちゃんなら、分かってくれるよな?」
***
侘助の長文が辛かった…
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