「おい!極限に空がおかしいぞっ!!」
そんな声に一斉に空を見上げると、一ヶ所に雷と暗雲が立ち込める場所があった。しかもソレは次第に広がり、雷は闇を孕みながら此方へと近付いてくるではないか
……………まさか
「あの、あれは一体っ!?」
『…筆頭…あれって…』
≪oh.漸く魔王のおっさんの到着だ≫
やっぱりー!
いやいやいや、ちょっと待って!幾らなんでもコレは派手過ぎやしないっ?
あぁでも…魔王のおっさんならアリか
『……来る』
闇と雷が猛々しく咆哮を上げる。と同時に闇を孕んだ雷が俺達の前に落ち、土煙と闇の中から姿を見せたのは…生前と全く変わらない魔王・織田信長公
≪…久しいの、竜の和子よ≫
『…ご無沙汰してます』
「……(怖っ!!)」
皆の気持ちが今、すげぇ程分かるわ。魔王のおっさん強面だしな、一見だとまず恐怖心が競りかつ
……俺もそうだったからなぁ
≪和子よ、あの戯け者が済まぬ事をした≫
申し訳なさそうに魔王のおっさんは、顔を伏せる。そして明智に手を掲げげた
魔王のおっさんの手から出た闇の婆娑羅。ソレは瞬く間に明智を包み込んで、球体状に収縮していく
≪こ奴は儂が責任を持って黄泉の国に届ける故≫
『はぁ…小十郎様、何か性格丸くなってませんか?』
(黄泉の国で色々あったらしいぞ)
『…はぁ…色々ですか…』
黄泉の国で何があったんだよ…性格変貌してねぇか?
≪…我等は先に戻るが、独眼竜と右目はもう少し後で来るが良い≫
そう言うと魔王のおっさんは僅かに笑みを浮かべ、ゆらりとその姿を消した
自由だな、オイ
「……消えた」
『……魔王のおっさん、性格変わり過ぎ…』
≪…それは俺達も思ったぜ≫
『…でしょうね…』
あそこまで変わると、俺もだがお二方もさぞや驚いた事だろう
現世の縛りから解き放たれたからか、幾分柔らかくなった様な感じも覚えた。矢張武将という役職は大変なのだろうな、色々と
≪……久遠≫
何時もと違い、少しだけ悲しみを帯びた筆頭の声音に、今更気付かされる
別れの時が、来たのだ、と
『……筆頭、小十郎様…』
来るべき、時
…遂に、来てしまった
12.10.26.