『筆頭、小十郎様。何故明智がこの世界に?』
それが俺にとって、一番の謎なんだ。奴は俺と違う、なのに何故?
≪明智が魔王のおっさんに謀反を翻したのを、久遠は覚えてるな?≫
『…はい。しかしその謀反は魔王に読まれ、明智は本能寺で小十郎様に…』
≪あぁ…まぁ結局奴は焼け落ちる本能寺と、共に死んだがな≫
そう。明智は小十郎様と対峙したが、最終的には本能寺と共に逝ったらしい
俺自身も見た訳じゃねぇから詳しくは知らねぇがな
「ねぇ、翠。さっきから出てくる、魔王のおっさんとかって誰?」
『…魔王、織田信長』
「いっ!?」
皆が絶句するのも仕方ない
此方の世界でも、魔王のおっさんは有名らしい…ある意味でもな
どの世界でも"魂"が同じなのか?
≪奴は余程テメェの手で魔王を下したかったのだろうな…死しても尚、亡霊となり彷徨った≫
小十郎様の言葉に、筆頭が続いた
≪その挙げ句、辿り着いたのがこの世界だったのさ。アイツはこの世界を壊そうとしてやがった≫
『……明智らしいっちゃ、らしい。しかし、その情報を何処で?』
死神と呼ばれた明智らしい経緯だな、オイ
しかし何でまたそれを、お二方が知ってるんだ?
≪魔王のおっさんからだよ≫
『………は?』
ち、ちょ…待って下さい
今…エラい名前が出てきたような……えぇっ!?
≪黄泉の国で、明智の行動は問題視されていてな。明智を連行する為に、魔王が選抜されたらしい≫
≪その魔王のおっさんが、俺達を此処に送り込んだんだ。魂だけをな≫
流石お二方
流れる様な会話に、感心の息が漏れる
いや現実逃避止めよう
つか黄泉の国で問題って…どんだけだ?
「…何か、理由があって?」
≪察しが良いな、坊主。
明智は人間に取り憑いて身を隠した。捜査が行き詰まった魔王だったが、久遠の存在に気付き、明智を炙り出したんだ≫
え、それって囮じゃね?
『…魔王のおっさん、酷ぇ』
≪そういうな。お前が明智とやりあうと苦戦するのは目に見えてたから、おっさんは俺達を寄越したんだろ≫
≪そういう事だ≫
いや、苦戦するって
俺は婆娑羅は使えるけど、一応これでも一般兵であって…対する明智は名の知れた武将だぞ
苦戦しない方が可笑しい
「…何か、スケールが大き過ぎる…」
まぁそりゃな、此方の世界の人間に対してならそうだ
俺も多少なりとも、その事態の大きさに肝が冷えたが
≪時期に魔王のおっさんが来て、明智を回収していく。そうすりゃ仕舞いだ≫
「…てかあの世とかあったのに、王子驚き」
「全くです〜」
「翠ちゃん、驚いてないね?」
え?そらそだろ
俺の住んでた戦国の世は、これ位で驚いてたら生き抜けられねぇ
流石に黄泉の国レベルまで来るとなると、話はまた別だが
『…これ位じゃ、なぁ…』
非現実な真実
>翠が\世の養子…か
>俺と親戚…
12.10.26.