《第三者視線》
「…誰、あれ?」
その頃の綱吉達は――
目の前で繰り広げられる光景に、ただ呆然とするだけ
だが唯一、雲雀だけが納得した様な表情を浮かべていた
「…そう…彼等なんだね、君の大切な人達は…」
**
突然の【彼等】の来訪
それにより翠の瞳に、再び強い光が宿る
『(身体中から湧き出る感じがする…これは…婆娑羅?)』
彼女は自身の身体を見回す
すると僅かだが、薄い紫色の光が発していた
其れは間違いなく、雷の婆娑羅
『…待たせたな、明智』
不適に笑い、翠は明智へと刀を向ける
――…何故独眼竜と右目が、居るのかはさておき…
明智もまた、彼女へと刀を構えた
禍々しい婆娑羅を、大量に放ちながら
――真っ赤な、美しい紅色の華を、見せて下さい
『ざけんな、誰がだ』
二人の間に冷たい風が流れた
一触即発の空気に、時が止まる様な錯覚さえ覚える
そして同時に二人は動く
『竜激華(りゅうげきか)!!』
青い稲妻と漆黒の闇が、激しくぶつかり合う
その激しさゆえか、周囲に火花が散る
――…っ!!ぐはっ!!
地に伏したのは明智だった
翠は地に膝を付け、息を乱している
――決着が着いた
『……勝った、のか?明智に…俺が…』
激しく息を乱しながら、彼女はただ呆然とするだけ
未だ勝利した事に、自覚してない様だ
≪久遠!!でかしたっ!!≫
≪良く頑張ったな、久遠≫
そんな翠に、【彼等】は労いの言葉を掛ける
彼等の言葉で漸く、彼女は我に返った
『…筆頭…小十郎様…』
うっすらと涙ぐむ翠に、二人は笑んでみせる
ふと何かを思い付いた様に、青年は口を開いた
≪つか久遠。あそこの連中、あのまんまで良いのか?≫
≪そうですな…此方に来られない様だが、一体どういう仕掛けだ?≫
二人の言葉に、翠はざぁっと表情から血の気が引く
『……忘れてた……』
≪≪おいっ!?≫≫
慌てて彼女は両手を合わせ、目を閉じる
すると本部と外周にあった、オレンジの炎が瞬く間に消え去った
「翠ちゃーんっ!!」
炎が消えた途端、背後から甲高い声が響く
振り向くとそこには、京子・ハル・凪・唯の姿があった
「翠ちゃん!凄い怪我っ!?」
「翠さんっ!!ご無事で何よりですぅー!!」
「…心配、しました…」
「……良かった……」
3人3様ならぬ、4人4様な台詞に、翠はたじたじ
その光景に御二人方は、肩を震わせている
『わ、悪い悪いっ!!そ、それより凪!結界解いてくれ、幹部連中が入れん』
「ん…了解、です…」
凪が目を閉じると、周囲が次第に歪んでいく
ゆっくりと歪みは消え、林の向こうに男性達の姿が見えた
「…結界、解けました」
『ん、サンキュー』
終演
>……お仕置き、何にしようかなぁ…
>…雲雀、俺も混ぜろ
>…ん、良いよ…
>(怖っ!!このコンビ怖っ!!)
12.10.14.