戦場に白刃が、激しく舞う

その光景は誰もが信じられねぇものだろう



――ひゃはぁっ!!

『明智ぃぃっ!!』



悪霊とも言い切っても良い存在の明智、普通だったら攻撃が効かない

たが俺の攻撃は確実に効いていた


それを可能にしたのは、俺の婆娑羅だ

刀に婆娑羅を纏わせる事で、無効である物理攻撃を有効にした…やってみるもんだな


…とは言ったものの

腐っても明智は、名の知れた戦国武将の一人

俺の想像を遥かに越えた、実力の持ち主だった



『…っ!!』



明智の鋭く重い攻撃に、俺は後退る

畜生、血が止まらねぇ。息も切れ切れになっちまってる



――あぁ、美しい…何て美しいんでしょう…



幸悦しながら、明智は歪んだ瞳で俺を見詰める



『…テメェ…』



嫌でも分かる実力差

歯を食い縛り、俺は刀を再び構えた



――相も変わらず、ですね…私との実力差を、分かっているでしょうに?

『巫山戯るなっ!!実力差があっても、俺は諦めねぇっ!!』



口元から一筋の血を流しながら吠える

こんな所で諦めてたまるか!!


俺は明智に気付かれない様、綱吉達へ視線を向けた



「っ!!何だ!?入れねぇ!!」

「これは…霧の結界っ!?」

「…ウゥム…霧の結界に大空の結界を重ねてあるね…」



…おぉ、足止め成功

霧の結界は凪のだが、大空の結界は俺のだ


先程凪に霧の結界を解けとは言ったが

それは本部周辺のみで、外周の結果を解けとは言ってない

んでソレに重ねる様に俺の炎で結界を張った


…奴等を婆娑羅の戦いに、巻き込まれない様に



――…【竜の和子】は独眼竜に染められていますね…非常に残念です…



うわ、久々に聞いたな…その渾名…


重い溜め息を漏らした明智は、そう呟くと俺へ刀を向ける

禍々しい闇の婆娑羅を、刀に纏わせて



――久遠、紅き美しい華を…咲かせて下さい…



ニタリと明智は、歪んだ笑みを浮かべた



『(っ!!不味い…予想以上に死ぬ気の炎の消費が激しい…此のままだとっ!!)』



明智の表情を見て、急にに俺の中に焦りが生じる

死ぬ気の炎と婆娑羅の同時使用

これにより、俺の体力は大幅に削られた


更に死ぬ気の炎を本部と、外周の防御に当てたが

予想以上の消費に、婆娑羅の出力が不安定になっちまった…畜生っ!!


脳裏に上役二人の顔が過る



『(…っ!!此処で諦めたら、筆頭や片倉様に顔向け出来ねぇっ!!)』



眼前の明智を睨み、再び刀を握り締めた


――その時だ



≪Hey!!久遠っ!!何呆けてやがるっ!!≫

≪テメェらしくねぇぞ、シャキっとしやがれ≫



甲高い声音と低い声音が、その場に響き渡る

………この、声……



『………へ?』



そんな俺の背中をトンと、暖かい二つの手が押す

背中越しに緩やかで、穏やかなモノが流れる



≪お前はこんな所でくたばる様なヤツじゃねぇだろ!!伊達軍の意地を見せてやれ!!Yousee?≫

≪大切なモンを守るんだろ、テメェが諦めてどうする?最後までやり遂げろ≫



暖かく力強い言葉

それは俺にとって、聞きなれた声で
それは俺にとって、道を指し示してくれた言葉で

全く…何で御二方が、此処にいらっしゃるんですか?


俺は御二方の言葉に応えるべく、刀を空にかざした



『Yes!!my.road!!』



決して屈するものか!

【竜の和子】の渾名は伊達じゃねぇ!



押された背中


やっと久遠【らしく】なったな!!

全くです。貴方の和子と呼ばれている位なのですから、簡単に負けられても困りますが

違ぇねぇ!


和子→良家の幼い男の子を呼ぶ語

12.10.13.




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