――おやおや…してやられましたねぇ…



唯を明智の手中から解放しても、奴は歪んだ笑みを崩す事はなかった

本当に歪んでるよな、性格…



「翠ちゃん!唯ちゃんっ!!」



本部門前から聞き覚えのある声が響く

振り向いた先には、京子と凪の姿があった


先程通信機で鉄を経由して、連絡してたんだ。唯の安全確保の為に、な



『京子、凪。唯を頼む』

「うん!任せて!!」



京子は力強く頷き、唯の肩に手を置く

俺はそれから凪に視線を移す



『それと凪、本部に掛けてる霧の結界解け』

「え?でも…」



実は戦闘前、凪に頼んで結界を張って貰っていた

戦闘中の攻撃が、本部に当たらねぇ様にな



『お前にぶっ倒れられたら、俺は骸に合わす顔がねぇよ』



骸、凪に惚れてんのに告らねぇんだよな。なのに心配性ときたもんだ

アイツどんだけチキンだ?


おっと、話が逸れた

視線を僅かに明智に向けながら、俺は続ける



『…それにどのみち…霧の結界だけじゃ間に合わねぇよ。これからの戦闘は』



死ぬ気の炎を使った戦いならば、まだ結界を維持しようとしたかもしれん


だがこれから行う戦いは…恐らく【婆娑羅】を使用した戦いになるだろう

…亡霊に物理攻撃効かねぇだろうし…効果があるなら婆娑羅しかねぇ


俺の雰囲気を察したか、凪は頷く



「…うん…」

『サンキュ、凪。それとな――――』



こっそり凪の耳元で呟くと、彼女は少し間を置いて頷いた

…ちと不満そうだが…



「了解、です……でも気を付けて、ね?」

『俺を誰だと思ってやがる?……行け』



三人は後ろ髪引かれながら、本部内へと戻って行った



――逃げられましたねぇ…良い【人形】でしたのに、残念です…



ペロリと気味悪い音を立て、明智は自身の唇を舐める

…気色悪い。第一ムカつく…



『……待たせたな、明智』

――あぁ!!漸く貴女の藻掻き苦しむ表情が見られるっ!!



高揚とした表情を浮かべる明智…変わらねぇよな、こういうトコ

…ほれ見ろ…綱吉達、ドン引きしてんぞ…



『…相も変わらず変態だな、コノヤロー』

――誉め言葉として受け取っておきましょう。

ですが久遠、私相手に飛び道具ですか?貴女らしくない…




急に真剣な表情に切り替えた明智は、目を細めて俺のグローブを凝視する

確かに、俺らしくねぇ
戦国(あっち)じゃ、飛び道具なんざ使わなかったらな


…だがよ、明智。俺を誰だと思ってんだ?



『亡霊になって更に阿呆になったか、明智。俺がテメェ相手に飛び道具で戦う筈ねぇだろ』



不適な笑みを溢した俺は、死ぬ気の炎を最大限に高める

そして背後の本部に、球体状の炎を張り巡らした



――……おや?



婆娑羅の戦いとなると、被害は半端ねぇからな

後は俺の死ぬ気の炎とスタミナが持てば良い話だ


一本のナイフを結界の要として地に刺した俺は、自身の愛刀を引き抜く



『武士(もののふ)なら、得物はコッチでないとな?』



この刀はスクアーロから、餞別に貰った日本刀

流石剣帝と呼ばれるだけあって、目利きも出来るみてぇな


コイツ使い勝手が良いし、何より頑丈で婆娑羅にも耐えられる凄ぇ代物だ



――貴女も大概、戦闘狂ですよね

『テメェに言われたかねぇ』



つか明智に言われたら、お仕舞いだっつーの

明智は自身の刀を抜き、構えた



――では…明智光秀、参ります



空気が張り詰める

この空気…本当に懐かしい



『伊達軍所属、久遠。推して参るっ!!』



戦国時代の風



>…っーか。そもそも、Ghost(ゴースト)と戦えんの?
>翠なら、多分大丈夫
>その自信はどっから出る?

12.10.12.




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