京子が本部に戻ると、翠の雰囲気は一変

膨大な殺気を放ち、雰囲気が張り詰めている



『死にたい奴から、掛かって来い』



その言葉が皮切りに、再び戦いが始まった


然しながら

翠は戦国乱世を生き抜いて来た猛者(もさ)

その強さは、そこらの傭兵と比べものにならない

瞬く間に、その場は阿鼻叫喚に包まれた



***



その光景を、幹部達とヴァリァーの面子は呆然として眺めるだけ



「…強ぇ…」

「…嘘だろ…」



彼等の目に移るのは

刀一降りで100人弱の刺客達と戦う、翠の姿

その姿、まさしく戦神



暫くすると彼女は、全ての者を一掃した

だが刺客はまだその姿が見える



***



『…ったく…どんだけいんだっ!?』



舌打ちした翠は、刀に付いた血を素早く払う

すると刺客から一斉に、死ぬ気の炎が上がる



『げっ!?』



俊敏な動きで彼女は、死ぬ気の炎の攻撃をかわしていく

その表情から次第に、余裕の色が消え始めた



『(不味い…匣は使うなって言われてるしな)』



そう。翠は死ぬ気の炎が使える

だがそれは、ザンザスと雲雀に固く使用を止められていた



「どんだけ強くても死ぬ気の炎さえ使えなきゃ、どおってことねぇなぁ?」

『…何だと?』



ある刺客の1言に、彼女に青筋が立つ

だが刺客達は更に続けた



「匣も使えねぇヤツに、俺達が負ける筈がねえっ!これでボンゴレも仕舞いだっ!!」



下品な笑い声が、周囲に響き渡る

翠はその動きを止めていた



『………悪ぃ』



ポツリと翠は、小さく呟く

そして彼女は首元に手を伸ばし、ブチりと何かを引きちぎる


それと同時に、チリンと空にリングが舞う



「なっ!?リングだと!?」

『誰が使えないと言った?』



不適な笑みを浮かべ、翠は懐から匣を取り出す

空を舞っていたリングを受け止め、直ぐ様彼女はリングを嵌める



『使えないんじゃねぇ、使うのを禁止されてたんだよ馬鹿共が』



そう言い放ち、翠はリングに炎を灯す

オレンジの大空の炎が眩く輝く


その姿をみたザンザスと雲雀は、表情を引き攣らせた



「……翠」

「……あの馬鹿がっ」



彼等を余所に、翠は匣に炎を注入



『開匣』



眩い光の中から、常磐が甲高い声色を響かせながら現れる

そして彼女は更に続けた



『武器変化(カンビオ・フォルマ)』



甲高い鳴き声と共に、常磐はその姿を変えていく


そして

その場にいた者全員が、驚愕する



額に澄んだオレンジの炎を灯し、両手にグローブを装備しているその姿

揺るぎない強き意思が秘められたる瞳



誰もがボンゴレ10代目

沢田綱吉を彷彿とさせた



『さあ、始めようか…』



その姿、戦神



>…俺と…同じ?
>翠は死ぬ気の炎を使えたのかっ!!

>(…ドカスが…)
>(翠…後でお仕置きだよ?)

12.07.20.




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