一方、綱吉達は――
「…僕達からの報告は以上です」
「相変わらず甘ぇヤツだ」
「ザンザス」
ボンゴレでも名の知れた、凄腕の幹部達が集う会合だ
室内の空気は冷ややかで、刺々しい
浅く溜息を漏らしながら、\世は再び口を開いた
「では……」
「申し上げます!!」
そこへいきなり、黒服の男性が部屋へ駆け込んできた
室内の幹部達の表情が、一斉に不機嫌な色を浮かべる
「一体何事だ?今は…」
「突然の無礼、申し訳ありません。ですが、緊急事態でしたので…」
余りの男性の慌て振りに、綱吉が首を傾げながら問い掛けた
「緊急事態?一体、どう言う事?」
綱吉達はその時、彼の言葉を想像出来ただろうか
否。想像出来る訳がない
「ボンゴレ本部が襲撃されていると報告が入りましたっ!!」
その台詞に、室内全員の表情が凍りついた
*****
一方。所変わって、ボンゴレ本部前
こちらでは本部を襲撃して来た連中と翠が、睨み合う状態
ただし、襲撃犯の人数はざっと100人以上は見受けられる
「おい!何だ、貴様!」
1人の男が声高に、翠へ叫ぶ
すると隣の男も続く様に、彼女へ叫んだ
「メイドが何の様だ!」
『(…………あ、忘れた)』
そうなのだ
彼女はメイド服のまま、戦場へと訪れていた
すると翠の脳裏に、ある考えが浮かぶ
『(良ーい事思い付いた)』
彼女の瞳が、獲物を狩る様に光る
すると翠はゆっくりと、穏やかな笑みを讃えながら口を開く
『私めはボンゴレ本部に、勤めておる者で御座います。皆様この度は何用でボンゴレへ、いらっしゃったのでしょうか?』
深々と男達にお辞儀をする姿は、【メイド】そのもの
すると男達から、下品な笑い声が響く
「おい、マジでメイドだぜ?」
「正気かぁー?」
だが彼女は、物ともせずに続けた
『御主人様達は只今、不在でおります。申し訳ありませんが、日を改めてお越し下さいませ』
「不在で結構!俺らはソレが目的なんだよっ!!」
「天下のボンゴレも、本部さえ無くしちまえばどうってことねぇ!」
男達の言葉に、翠は軽く溜息を漏らす
『……作用でございますか…ならば、仕方ありません』
「お嬢さん、俺らの相手でもしてくれんのかー?」
下品な笑い声が響く中、彼女の瞳がより強く輝く
男達はその光にも、翠の背後に見え隠れしている"モノ"にも気付いていない
『はい』
「へ?」
彼女の返答に、男達は目を見開く
対する翠は、右手を背後へと持って行く
『お相手をする、と申し上げました…こちらの方の、ね』
不敵な笑みと共に、彼女の手元に刀影が現れる
それに男達は、息を呑む
『さぁ…始めましょうか?』
戦闘開始
>本部が襲われてる!?
>……ふぅーん
>何でそんなに余裕なんですか!?雲雀さん!?
>綱吉、落ち着きなよ。大丈夫、絶対。本部には、最強の守護神がいるんだからさ…
……そう、最強の、ね?
12.07.14.