「何でこんな所に唯がっ!」
『非常事態と申した筈です』
元々、本部の地下には避難用のシェルターが完備してある
…流石、綱吉だよな…
非戦闘員をシェルターに、避難させようとしたんだが…
「いやったら、いやっ!」
…まぁ…案の定…唯がごねやがった
こーの非常時にっ!!
唯の言葉に怒りを抑えていると、他の連中が恐る恐る口を開いた
「あの…非常事態とは…?」
『……敵襲、です』
「っっ!?」
一瞬にして、全員の顔色が変わる
…余り、口にしたくなかったんだが…
他の連中を他所に、俺は滔々と続ける
『現在この本部には、幹部の皆様が不在です。皆さんはこのシェルターの中にいて下さい』
「だがっ!」
「いやっ!」
唯を筆頭に、他の連中まで抗議してきやがった
…こいつら…
『…黙れっ!』
青筋を立てながら、俺は吠えた
すると途端に、室内は静まり返る
そういや…こいつらの前で、叫んだ事がなかったか
全員、目見開いて固まってら
(猫被ってたからでしょ by.管理人)
『今現在、本部の警備総合責任者は俺だ!黙って言う事を聞け!貴様等全員、死にたいのかっ!』
「う、嘘よっ!」
いち早く我に返った唯は、目を見開きながら、俺に噛み付いてきた
……粘るな……
『残念だが…俺を警備総合責任者に指名したのは、他でもない恭弥だ。っても総会の間だけだがな…唯、お前は恭弥に噛み殺されてぇのか?』
「っ!」
そこまで言って漸く唯は、渋々折れた
恭弥の名前は絶大だなー
『敵襲は俺が食い止める。お前等は、絶対ココから出るんじゃねぇ』
「は、はいっ…!」
念を押し、俺は踵を返す
…大人しく、してくれりゃいーが…
シェルターの簡易ロックを掛け、俺は歩きながら通信機を取り出した
『哲、どんな案配だ?』
≪…非常に危険としか…≫
『ちっ!』
…やってくれたな…
状況は四面楚歌
戦場へ出れる戦闘員は、俺一人しかいない
本部のだだっ広いフロアを抜け、俺は重い扉を開ける
その瞬間に殺気が飛んでくる
『…哲、とりあえずコッチは任せろ。後はさっき話した手順でな』
≪…承知しました。翠さん、御武運を…≫
『応』
鉄との通信を切り、真正面を向く
そこには数え切れない程の人の群
……腕が鳴るなぁ……
『………やる、か』
いざ、戦場へ
>…久々だな、この雰囲気…
12.07.14.