『只今戻りました、ボス』

「…良かった、無事で…お帰り、翠」



あれから恭弥と共に、帰還の報告へ向かった

私を見て、何故かボスは安堵の息を漏らす


………何でだ?



「報告書を見た限りでは何も無かった様だけど、やっぱり不安でさ…」

「『(……え?)」』



彼の言葉に、俺も恭弥も首を捻る

不安要素だ?暗殺部隊に行くんだから、そりゃ当たり前だろう


だがボスの口から出てきたのは、俺達の予想と全く違うものだった



「ほら。男連中の中に放り込む様な形だったでしょ?いくらルッスーリアがあぁ、でもさぁ…」

「『(そっちの心配か!!)」』



心配するトコ違くねっ!?

横目で恭弥を見やると、呆れた表情を浮かべてた


……おぉ、同意見か……



「翠、今日はゆっくり休んでね。本部の仕事は明日からで大丈夫だから」

『お心使い、感謝致します』

「じゃ、僕達は失礼するよ」



ボスに再び頭を下げ、俺達は部屋を後にした



《ツナ目線》



翠が無事に、本部に戻ってきた


ザンザスから出された報告書からは、何も不自然な所はない

寧ろ、優秀過ぎてヴァリアーに引き抜かれる程



「……いつまで隠れてる気?リボーン?」

「チッ!気付いてやがったか…」



横目で部屋の隅を睨む

闇に溶け込む様に、リボーンが姿を現す


…全く、いつ入ったんだか…



「そういやお前…翠の事調べたんだよな?」

「…うん…気乗りしなかったけど…」



リボーンの言う通り、彼女がヴァリアーに行っている間

ボンゴレの総力を上げ、内密に素性を調べ上げた

……勿論、雲雀さんにも内密に



現在の本部がこの状況だ

仕方ないとはいえ、翠に黙って素性を調べるのは気が重かった



「んな悠長な事言ってんじゃねーよ。仮にアイツが暗殺者だったらどうすんだ?」

「何言ってんだよ、リボーン!?翠が暗殺者な訳ないだろっ!!」

「言い切れるのか?アイツは俺の殺気に耐えたんだぞ?」

「…っ!」



確かにリボーンの殺気をもろに受けて、翠は平然としていた…あれは俺も驚いたよ


…けど…



「だったら雲雀さんは?彼を騙せる訳がないよ」

「むっ…」

「それに翠さ…何か訳ありだと思う」



そう言いながら、俺は報告書をリボーンに手渡す

報告書に目を通したリボーンは、次第に目を見開いていく



「…おい、これは…」

「…うん…間違いないよ…」

「【翠】と言う人物は存在しない…だと?」




報告書にはそれのみ

だからこそ、俺も驚いた


翠が【この世界には存在しない】

なら本部にいる彼女は、一体何者なんだろうか?


でも確実に分かっている事が、1つだけある



「翠が何者かどうかは不明だけど…雲雀さんは彼女の事を、信頼してるのは確かだよ」

「……厄介だな」



素性


存在しない君は、一体何者?


11.12.22.




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