翠がヴァリアー本部へ応援へ行っている間
如月が我が物顔で本部を闊歩していた
本当に君、何様のつもりだい?
その間翠の守護に置かれてた3人は、如月の手によって再度痛め付けられた
これは僕達の落ち度だ、翠が帰って来たら謝らないとね
彼女には自分が不在の間、3人を頼む…って僕らに念を押してったのに…
***
「しかし…参ったね」
「全くです…」
如月の被害は3人だけではない
アイツの我が儘で、幹部達の仕事にも支障をきたしていた
これらの報告は獄寺やランボ、変態からも来ている
「…これで翠さんが戻って来たら…」
「間違いなく、標的は翠になるね」
哲と報告書を読みながら、溜息を漏らす
…翠が居たら、少しは違うのにな…
「しかし…翠さんには本当に頭が上がりませんよ」
「…ワオ!哲がそこまで言うなんて珍しいね」
「彼女の事を考えたら、そう考えざるを得ません」
「……まぁ確かに」
戦国乱世の人間が、あっという間に現世に慣れた
これは彼女の適応力の高さもあるんだろうけど…
「…やっぱり少しは覚えてるのかな?」
「…恭さん?」
「いや…何でもないよ。それより…頼んでおいたのは?」
「へい、こちらに」
そう言うと哲は僕の前に、和服を二着差し出した
瑠璃紺(るりこん)と呼ばれる、瑠璃色より濃い色の青色の生地に
瓶覗(かめのぞき)と呼ばれる、水色より少し濃い色の刺繍が瑠璃紺を引き立ててる
もう一着は袴だ
菫色(すみれいろ)と呼ばれる少し濃い紫の上着に、白の袴
これは彼女がいつでも、剣の修業が出来る様にだ
「ん、良い出来だね」
「翠さんなら着付け出来るでしょう」
「そりゃそうだよ。なんせ戦国乱世の人間だからね」
僕は翠への贈り物に、有頂天になっていた
…だから気付けなかった
…哲に盗聴器が仕掛けられてた、という事を…
その頃
>…翠、喜んでくれるかな?
>勿論ですよ
>ちょ…どういう意味?
11.11.25.