それは思い起こせば、突然の事だった

このボンゴレ本部に謎の小娘が、空から落ちて来たんだからな



最初は皆、あいつを疑ってたよ

異なる世界から来て、しかも俺達がその世界では漫画の住人なのだから


だが実際奴の存在は、この世界には無く

お優しい10代目は小娘こと…如月 唯を保護する事に決めた



唯は持ち前の人懐っこさで、あっという間にボンゴレに馴染んだよ


だが俺は気付けなかった

…ハルが苦しんでいる事に…




それに気付いたのは、唯が来て三ヶ月が経過した頃

久々のハルとのデートの時


真夏なのにあいつ、長袖の上着を着てたんだ

暑いなら脱げ、と言っても聞きやしねぇ


我慢の限界だった俺は、ハルから強引に長袖の上着を分取った


俺はその時、自分の目を本気で疑ったさ



そこにあったのは

無数のあざや切り傷…しかも明らかに人為的なもんだ…



俺はハルを問い詰めたがあいつは、頑として言わなかった

…昔っからハルは頑固だったからなぁ…



その頃本部では、誠しやかな噂が流れていた


【笹川京子・三浦ハル・クローム髑髏が、如月唯を貶てる】


勿論んなのガセネタと、俺は思っていた


俺だけじゃねぇ。10代目も、クロームに片思いしている骸もだ



もしかしたら噂は真逆じゃないか?

そう考えていたのもつかの間



唯が、笹川達に暴力を奮われたと泣き付いてきた



絶対有り得ないっ!
あいつは人の痛みを分かる奴だっ!

そんなこんなで、本部が微妙なバランスにいる時



雲雀が住み込みで人を雇わないか、と言い出した

あいつにあれ程、絶賛させる奴なんていたか?いやいない…



顔合わせの時、あいつを…翠を見た時は心底驚いた

あの雲雀が笑ったんだぜ、僅かだけどよ?


多分それもあったからだろう、10代目は翠を採用した

翠は仕事を覚えるのが早い、雲雀が絶賛するのも分かる



だが何だか俺は、コイツに妙な違和感を感じて仕方ない

…一般人にはない、何かを…



そして再び、事は起きた

翠もまた、唯に暴力を振るったという



本当に、か?俺には信じられねぇ……

本当の真実は、何処にあんだよ……





『知りたいですか、真実?』

「…翠…?」



仕事を上がった筈の翠が、不敵な笑みを讃えて俺に告げた

そしてゆっくりと、俺に手を差し延べる



『真実が知りたいなら、こちらへどうぞ…ただし後悔はしませんよう』



嵐の思い




気付けば俺は…翠の手を取っていた…


09.09.17.






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