さてさて

我が儘姫様の御呼び立しの時間だ



『……』



雲雀に事前に用意して貰った超小型盗聴器を、眼鏡に装着

更に念には念を入れ、骸に本部内に設置してある監視カメラを弄ってある



『(映像と音声証拠は是(これ)で掴めるな…)』



元々、姫さんの呼び出しに応じる必要は無かった

あんな餓鬼に元々興味ねぇし




だが京子達の身の安全を考え、俺を姫さんの標的にしねぇといけねぇ

実際姫さん、俺の事を好いてねぇみてぇだしな


……毎度毎度、痛ぇ視線をぶつけてくれりゃ嫌でも分かるっの……



呼び出された場所は中庭


俺が行くと既に、姫さんはスタんばってたよ



「おっそ〜いっ!」

『申し訳ございません』



姫さんはプクリと頬を膨らませて、大層ご立腹の様だ

……だから、キモいっの…



「も〜!折角唯がお話してあげるって言うのにぃ〜!!」



てめぇ、何処まで上目線なんだよ



『…姫様、申し訳ありません…』

「でも、仕方ないよねぇ?お仕事があるもんねぇ〜」



うっすらと笑みを浮かべながら、自分で納得する様に語る姫さん

何も仕事しねぇ、てめぇと一緒にすんな…



「ねぇねぇ」

『何でしょうか、姫様』



猫撫で声で話し掛けてくる姫さんに、俺は鳥肌が止まらんっ!

不意に姫さんの瞳が、怪しく光った



「あんた、ウザいよ」

『………は?』



今、何つった?

いやいや、ウザいのはてめぇだっつの



「唯のツナ達と最近仲良くなって!邪魔なの!唯が1番なのに、しゃしゃり出て来て!」

『………』



言葉が出ないとは、この事だろう

いやマジでブッサイクなツラ……幹部連中に拝ませてやりてぇ



「唯はね、お嬢様なの。だからカッコイイ男はみーんな唯のモノ!勿論唯は誰よりも可愛いの!1番可愛いの!…なのにっ!!」

『……だから、京子様やハル様、クローム様を陥れたと?』

「なーんだ、知ってたの?そ、唯がやったの。唯より目立ってる、あの子達が悪いんだよ?」



……こいつ、マジで腐ってやがる……



「だから……あんたも消えて?



そう言った姫さんの手にはカッターが…しかも逆手に持っている

………うわ、セコい……



「バイバイ…きゃああああっ!!



姫さんが不敵に笑い

自分の腕を切り、自演の悲鳴を上げた


凄い所はカッターを左手で持って、右腕を切り付けたトコだよ

しかも逆手に持つ事で刃は外側向いて、切る時も左から右へと


……悪知恵は働くんだ……



途端に無数の足音が響く

俺はそれに呆れて、溜息を漏らすだけだった



偽り姫の思惑



『……くっだらねぇ』


11.09.02.




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