「……降伏、したか」
新政府軍の圧倒的な兵力を前に、弁天台場は援護の手も足りずに降伏
函館市中も新政府軍に占拠され、函館軍は降伏する事と相成った
――…函館戦争は、終結したのだ
*****
「やはり生きておったか」
「貴方はっ!?」
「風間っ!?」
厳しい戦いを潜り抜けた島田と平助は、無事に生還
その二人の前に、風間が姿を現した
「お前何で……土方さんっ!?」
彼の肩に背負われているのは、間違いなく土方で
その事に二人は目を見開く
「案ずるな、死んではいない…深手だがな」
「テメェがやったのかっ!?」
「…待って下さい!この傷は銃砲によるものです!!」
今にも風間に噛み付こうとする平助を、島田が止めた
それを聞いた平助は困惑した眼差しで、風間と土方を交互に見やる
「銃?…どういう…」
「弁天台場に向かう途中に、狙撃されたらしい。手当ては独眼竜が施した様だ」
「確かに…この手当ての仕方は副長のものです。微妙に癖がありますから」
ふと平助は不安げな瞳で、風間を見上げた
「風間…##name_4##姉、は?」
「……………」
「黙ってないで応えろよ!」
視線を逸らす彼に、平助は泣きそうな表情でしがみつく
そして風間の口が開く
「……消えた」
「……え?」
平助の瞳が見開かれる
「俺と、土方の前で…まるで霧の様に、姿を消した…」
「……まさか…」
二人の脳裏に、最悪な結果が過る
ジワリと平助の瞳が緩む
「……うそだ……」
「俺とて、信じたくないわっ!」
風間の悲鳴地味た声に二人は、彼の言葉の重みを感じ取る
戻ってしまった
彼女が、元々住んでいた世界に
――…戦国の世に
「……では、局長は…」
「目の前で恋仲の者が…最愛の者が消えたのだぞ?取り乱さない訳がなかろう」
島田はつい俯き、歯を食い縛る
「……でも、何で…気ぃ失ってんだ?」
「俺が気絶させた」
「何でっ!?」
素朴な疑問を投げ掛けた平助に、風間はさらりと答え
その返答に、平助は再び目を吊り上げた
「あの様な土方は、見るに堪えなかった…危うく廃人になりかけていたからな」
「……局長、そこまで…」
土方が廃人になりかけたなど、今まで聞いた事がない
##name_3##と別れた後でさえ、何とか踏み留まっていたというのに、だ
だかそれも、致し方ない
「当然……全てが終結した後、夫婦になる…と誓っていたらしいからな…」
「そんなっ!?」
mae tugi
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