##name_1##と土方が漸く元の鞘に戻った後
二人は変わらない生活を送っていた
##name_1##は相変わらず医療奉行として、仕事に追われ、
土方もまた、陸軍奉行並としての仕事に没頭
だがそれでも二人は、時間を作っては互いの部屋を行き来していた
まるで今までの時間を取り戻すかの様に、仲睦まじい
土方の体調も良いので、尚更だろう
どうやら蝦夷に来てから、日中でも体調を崩さずに生活出来るらしく
風土が羅刹の血に、影響している可能性も出てきた
そんな、年も明けたある日
大鳥が土方を訪ねてきた
『ほい、お茶』
「ああ、はい。お構い無く」
丁度書類確認の為に大鳥より先に訪れていた##name_1##が、お茶を差し出す
すると大鳥は彼女を見て、満面の笑みで笑った
「土方陸軍奉行並は羨ましいね。こんな美人なお嫁さん、どこで捕まえてきたのさ?」
「……俺には何の連絡もしないまま、勝手に辞令を出した誰かに聞け。つか嫁じゃねぇ」
土方は半目で睨み付けると、大鳥は益々楽しげに笑う
と言うのも。実は##name_1##の医療奉行就任は、土方の了承を得ていない
功績を知った大鳥達が、土方に知らせずに就任を進めたのだ
…後日これを知った##name_1##も、流石に驚いたが
知ってか知らずか、大鳥はからかう様な口調で続けた
「僕は気を利かせたつもりだったんだけど。で?婚儀はいつなの?文武両道で容姿端麗、人望も厚いし…文句のつけようが無いじゃないか」
「まぁな。こんな奴が俺の側に居るなら、他の女はいらねぇよ」
『………Ha?』
突然の土方の言葉に、##name_1##は固まる
彼女だけでなく、大鳥も驚く様に目を見開いていた
だが本人は平然とするばかり
「まさか、土方君がそこまで言うとはね。僕も彼女みたいな、お嫁さんが欲しいよ」
瞬きながら大鳥は感慨深い口調で紡ぐ
すると土方は小さく笑う
「悪いが、大鳥さんは他を当たってくれ。こいつは俺のだ。……手放す訳ねぇだろ?」
さも可笑しそうに、大鳥は声を上げて笑う
##name_1##は蒸気が上がる程に、赤面させていた
『とっとと本題入るぞ!!』
「説得力ねぇよ」
『五月蝿い!』
土方と##name_1##のやり取りを楽しげに見比べた大鳥は、表情を引き締める
「じゃあ本題に入るけど…奴ら、来ると思うかい?」
『来る、必ず』
「俺も同意見だ。雪が溶ければ、直ぐにでもな」
彼の問いを予測していたかの様に、二人は表情を変えずに即答で返す
二人は伏せられた言葉にも関わらず、その意味を理解している
「二人もそう思うなら、間違いないな。実はね、僕も同じ様に考えていたんだ」
うんうん、と大鳥は何度も頷く
『榎本さんの事だ。話し合いで解決したいと思ってるんだろうが、んな簡単にいくか』
「流石##name_1##君。僕もまず、戦争になると思ってる」
「…戦争回避は難しいだろうな。新政府軍が、俺らを見逃すとは思えねぇ」
話し合いで戦いが終わる訳がない
確かにそれは一つの解決策だ、しかし…戦はそう簡単に巧く運ばないのだ
それはここにいる誰もが理解している、##name_1##は特に
『つか新政府軍が見逃すなんぞ、甘い考えを持ってねぇよ。春までには医療隊を、完全に使える様にしておく』
「ああ…陸軍も春までに、準備を整えるべきだ…例え榎本さん達が、反対しようともな」
「ああ、その辺りは心配しないでくれ。偉い人達への根回しは済ませておく」
二人は頷き、了承の意を示す
「しかし…この蝦夷に来て、あんたと意見が合うとは思わなかった」
「まぁ…出会った頃から考えると、本当だね。互いに生粋の侍じゃないから、考え方も違ってたしなぁ」
mae tugi
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