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―桜が咲き誇る春―



白刃が交わる鋼の音、蹄の音が響き、阿鼻叫喚が広がる戦場

軍馬に乗り、小高い丘からその戦場を見下ろす影二つ



『…今回の戦も、俺達の勝ちだな』

「Ha!当たり前だ、俺達が負ける筈がねぇ!!」

『ま、そりゃそうだ』

「Hey!俺達も行くぜっ!!」

『…知らねぇからな…』



二つの影は、共に戦場を駆け抜けた


一人は右目に眼帯を付けている青年
もう一人は、左目に眼帯を付けている青年

その二人が纏う雰囲気は、何処か気高さを醸し出している

そんな彼等は己が愛刀を手に、颯爽と駆けて行った


*****


暫くすると、青年の所属する方の勝利が辺りに響く


それに安堵の息を漏らしたのは、左目に眼帯をする青年

…だが、それがいけなかった


鈍く、何かを切り裂く音が響き渡る



『……な、にっ?』



彼が気付くと、己の身体から滴る紅の水

青年が振り返ると、そこには息も絶え絶えの男がいた



『っ…!』



歯を食いしばり、青年は男を一瞬に斬り伏せる

滴る血液は後を絶たず、青年の視界が次第に霞む


彼が最後に見た物は、見事に咲き誇る桜だった



―そして青年の姿が
戦場から消えた―




はじまり 完



10.03.26.執筆
11.11.09.編集・移転

mae tugi



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