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本来ならば、彼女もこの場にいて可笑しくない

だが彼女はもういない



「……平助から連絡貰った時は、冗談かと思ったよ…」

「…けどよ。よくよく考えてみりゃ、##name_1##の生きる世界は…ここじゃねぇんだよな…」



そう。彼らに影響を与え、風間達さえも変えた人物は…異世界に生きる者

この世界に今まで滞在出来た事が、不思議な位だ

つい皆の口が、止まる



「何だ、辛気臭ぇ」

「…土方さん…」



沈黙を破ったのは、土方の言葉だった



「##name_3##は元の世界に戻っただけだ」



彼の言葉に、皆が表情を顰める


土方と彼女は、相思相愛だった…傍目から見てもそれは一目瞭然で

戦争が終結次第、夫婦になる約束まで交わしたのにも関わらず…


不意に強風が彼らの間を吹き抜けた

……その時だ



――…本当に、それで良いのかい?トシさん

――…それは本心ではありませんよね、副長?




突然、彼らに聞き覚えのある声音が降ってきた

その声音に、全員が目を見開く



「えっ…?」

「この…声…?」


――…全く、トシさんも##name_3##君も不器用だね

――…副長と隊長ですから、致し方ありません



この声音を、全員が知っている

否、忘れる訳がない


全員が向かいの桜並木に視線を向ける

そこには……



――…皆、息災でなにより

――…お久しぶりです


「……源さん?……山崎?」



そこには殉職した筈の、井上と山崎の姿があった

しかも半透明…



「…ちょ、どういう意味?」


――…驚くのも無理はない、私達はとっくに死んでいるんだからね

――…世間で言う幽霊、と言うやつです


「…………普通の幽霊は、真っ昼間から出ねぇよ」



不知火の突っ込みもご最も

だが"彼ら"は実際、そこに存在している



――…いやねぇ。余りにもトシさんと##name_3##君の、結果が見るに堪えなくてね


「……は?」



穏やかな笑みを浮かべながら、井上が発した言葉に皆が目を丸くする



――…殉職した隊士達から、「何故副長と隊長が幸せになってないんだ、可笑しいだろ!」と沢山の苦情が来まして

――…それで代表して、私達が来た訳


「………あいつら…」



二人がやって来た理由に土方は俯いて頭を抱え、他の面子は笑いを堪えるのに必死



――…それにね、トシさん

――…やはり隊長には、副長が必要な様です


「な、に?一体そりゃどういう…?」



彼らの言葉に、土方は俯いてた顔を上げる

そこには穏やかに笑む、井上と山崎の姿があった



――…言葉で説明するより、その瞳(め)で見た方が良い

――…今の隊長がどんな状況か、を



そう言うと二人は桜並木に手を掲げる

するとその先の空間が次第に歪み、ゆっくりと何かを映し出した



「………………」



その光景に、誰もが息を呑む

そこに映って見えたのは…他でも無い

彼らが会いたくて仕方なかった人物だからだ



「………##name_3##」



そして… 完

………………………………………
幽霊vr.の井上や山崎登場…漸く伏線回収(安堵)

次の舞台はBSR

11.00.00.


mae tugi