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悲痛な平助の叫びがこだまする

二人は京にいた時から、何時夫婦になっても可笑しくない程、相思相愛


それがこんな、悲しい結末を迎えるとは……誰も思うまい


不意に風間は、踵を返す



「どちらへ?」

「俺はこれから一族を、纏め上げなければならぬのでな…土方に言伝を頼めるか?」

「…何て?」



首を傾げながら、平助は問う

すると風間は顔を彼らに向け、不敵な笑みを溢す



「"再戦は後に。貴様が腑抜けでは、戦っても意味が無い"」

「……まだ戦われるおつもりですか?」



呆れた様に島田が溜め息混じりで呟くと、風間は笑いを殺しながら続ける



「決着がついていないからな。
"貴様同様、##name_1##も同じ立場にいる筈だ。腑抜けた貴様など、##name_1##が惚れた男ではないわ"とも伝えておけ」

「………………」



きっぱりと言い切った風間に、平助は目を瞬かせた

彼の変わり様に、心底驚いている


そして風間の笑みには、何処か##name_1##と似た雰囲気が見えた



「承知しました」

「……去らばだ」



島田の了承の言葉を聞いた彼は、満足げに笑むと再び歩を進める

二人はそんな彼の背中を、ただ見詰めていた



「……アイツに報告すれば泣きじゃくる、だろうな…全く厄介な…」



途中、風間が小さく呟くが

その言葉は風に乗り、誰の耳にも届く事はなかった




――…その後

榎本はその優秀さを敵将に買われ、極刑を免れた

今現在も投獄中との事



島田は京に戻り、剣術道場を開くとの事



大鳥はその後、函館市内に在中

とある店で働きながら、寺子屋で子供達に教鞭を降るっているらしい



平助は故郷に帰る事が出来ないので、この地に永住する事にした

最初は土方と一緒に暮らしていたが、今は独立

剣術道場の師範をしながら、土方の家を行き来しているらしい



土方は…最初の頃は何にも手が付かない程に、放心状態だった

だが平助と共に暮らした事で、少しは生きる気力を取り戻した

今は自宅でのんびり暮らしながら、平助の嫁さん探しをしているらしい


だが片時も、愛しい彼女を忘れる事はなかった



終結 完


………………………………………
ここから完全捏造入ります


mae tugi