■※

土方の唐突な言葉に、思わず##name_1##は目を瞬く



『桜、ねぇ…俺よか、お前の方が似合うと思うがな』

「俺に?」

『お前の方が似合いだよ、誠の【武士】の象徴だろ…桜は』



潔く散る様を生き様に例え、家紋を桜に変える武士も少なくない

だが寧ろ土方の場合は、理想を追い続ける生き様の様



『桜吹雪に埋もれたって違和感ねぇぜ、きっと』

「…どこの歌舞伎役者だよ、それ…。お前にも、桜は似合う」



ゆっくりと土方は##name_1##の頬に手を伸ばす

そして優しく撫でる



「桜の精みてぇに見えたぜ、俺には」

『……言ってて、恥ずかしくないか?』

「るせぇ」



頬を赤く染めて、土方はそっぽを向く

一瞬、##name_1##は眉を潜める



『(……持ってくれ)』



不意に桜の平原に、強風が吹き抜けた

その風に吹き上げられ、桜の花弁がはらりはらりと舞い降りる



――…そして



「やはり、生きていたな」



いつの間にか、彼はそこに居た


真っ直ぐに土方を見詰め、心底愉快そうに笑む



『…オイ、千景。何でテメェがここにいやがる?まさか…』



ピキリと##name_1##の青筋が立つ

すると風間は慌てて、口を開く



「決着をつけに来ただけだ!」



確かに宇都宮城で風間は、退却する際に再戦を告げている

恐らく今回はそれを果たすべく、参上したのだろう



『ほぉ…無断でか?』

「天霧の許可は貰っている!何も命まで取るとは言わん!!」

「…何だと?」

『どういうこっちゃ?』



彼の発した言葉に、土方は表情を顰める

それは隣にいた##name_1##も同様だった



「………貴様と決着をつける条件が、互いに殺生しない事……と言われいるのだ」

『……天霧か、天霧だな』



どこか不機嫌そうに、風間は視線を逸らす

風間にそんな条件を突き付けられるのは、天霧しかいないだろう



『(…天霧に頭が上がらねーでやんの。オトン最強じゃね?)』



口元を引き攣らせる##name_1##は、脳裏に彼の説教を思い出して身震いする

どうやら天霧のオトン力は、種族問わず有効の様だ


余りにも記憶と違う風間に、土方は表情を引き攣らせる



「お前、性格変わってねぇか?」

「ぐっ!!ど、独眼竜と関わった鬼は、粗方変わっておるわっ!!」



図星の様に叫ぶ彼の台詞に、土方は隣を訝しげに見た



「……何した?」

『会津でちょっち…ん?て事は…お前、はぐれ鬼じゃねぇの?』

「違う」



##name_1##の問い掛けるに風間は即答で返す



「これから俺は、成すべき事がある。だがその前に、貴様との決着をつけたいのだ。それだけが俺の、唯一の心残りなのでな」

「……お前」



それは彼なりの、土方を評価する言葉にも捉えられ

土方は軽く目を見張る



「今の全てを賭け、貴様に挑む。受けるか、否か」



風間の挑戦的な視線に、土方は不敵に笑む



「断る理由がねぇよ…止めんなよ、##name_3##」

『止める理由がねぇよ。命のやり取りしねぇなら、寧ろやれ』

「……お前なぁ」



彼女の意外な発言に土方は呆れるが、風間は口元を上げて笑う



「ふっ…独眼竜なら、そう言ってくれると思っていた」



目を軽く瞬かせ、土方は再度##name_1##へ見やる



「…本当にお前、何したんだ?風間の性格変わり過ぎだぞ…」

『あ、あはは…(ここまで豹変するとは…)』



mae tugi