苦笑混じりで了承した千鶴、だが一方では…



「ひでぇ!」

「本当だよ…」

喧しい、問題児二人。局長、千鶴は屯所待機、俺は出陣で?』



当の本人達から悪態が飛ぶ

が、ばっさりと切り捨てた##name_1##は、二人を無視して近藤に確認を取る



「あぁ」

『了解。山南さん、医療隊何名か待機させますんで、使ってやって下さい』

「ありがとうございます、助かりますよ」



流石の山南も、苦笑を隠せない



「##name_1##ってさ、土方さんみてぇな」

「てか、土方さん二号?」



部屋の隅で、小声で話す新八と左之



「新八ー、左之ー、聞こえてんぞ?』

「「すんませーんっ!!」」



不意に##name_1##は千鶴に視線をやると、彼女にそっと耳打ちした



『伏見奉行には直ぐに向かう、話すなら今の内だぞ?』

「っ!」



頬を赤く染めた千鶴は、目を見開いて兄を凝視した



『ほれ、急げ』

「う、うん」



駆け出す千鶴の背中を見送る##name_1##は、満面の笑みで呟く



『…若いって、良いねぇ』



その呟きが聞こえたのだろう、土方は笑いを堪えながら##name_1##に突っ込んだ



「…お前、雪村とそう変わんねぇだろ…」



*****



早急に支度を整えた新選組は、伏見奉行に到着

だが奉行所に話が通っておらず、一行は会津藩邸に向かった


会津藩邸の役人に問合せた所、九条河原で待機せよとの通知

更に九条河原待機組は、本隊ではなかった



『(内部が不安定過ぎる……こんなものか)』



この状況は##name_1##にとって【有り得ない】事で、内心毒付いた


緊張が張り詰める中、夜が明け――法声が響き渡る――

同時に町中から、人々の悲鳴が聞こえてきた


皆が頷き合い、駆け出そうとした瞬間

九条河原待機組の役人に呼び止められた



『miserble…(情けない)』



ポツリと呟いた##name_1##の表情は、怒りに満ちていた

また土方も、勘忍袋が切れたようだ



てめぇらは待機する為に、待機してんのか?
御所を守る為に、待機してたんじゃねぇのか!
長州の野郎共が攻め込んで来たら、援軍に行く為の待機だろうが!


「しかし、出動命令はまだ…」



役人の言い訳に、##name_1##も口を開いた



言い訳なんざ、聞きたくねぇよ



淡々と冷たく重い言葉に、皆が息を呑む



『その腰にぶら下げてるのは、何の為に使う?あんたらは何の為に剣を握った?
何か護りたい【もの】があるからだろ?
自分の目的を履き違えるんじゃねぇ!』



そう言い切ると、返答も聞かずに土方と共に歩み始めた



「…俺が言いたい事、あらかた言っちまいやがって」

『悪りぃ…蛤(はまぐり)御門、だな』

『…あぁ』



小声で二人がそんな会話を交わしていた等、隊士達は気付かなかった


結局二人の一括が効いたのか

九条河原待機組の彼等も、蛤御門へ行く事になった

が。部隊が着いた頃には、既に戦闘は終了していた


その後の情報収集により、公家御門の方に長州残党がいると報告され

又。山崎からの報告で、今回の中心人物が天王山に向かっているとの事


考え込む土方の言葉を、皆は静かに待つ

すると土方は緩やかに、隣へと視線を向けた



「…お前はどう見る?


mae tugi