池田屋事変以降、千鶴の外出許可は増えていった
一方京の蘭方医に弟子入りした##name_1##は、瞬く間に医学を納めた
それと同時進行で##name_1##は、新撰組内衛生を徹底的に改めた
まず屯所清掃、これが一番厄介だった
屯所事態が男所帯と言う理由にしては、汚な過ぎるのだ…
これには千鶴にも手伝って貰い、何とか今までよりは綺麗になった
次に家畜を飼育する事
これは屯所内から出る廃棄物を、放置させない措置だった。まぁ飼う事を了承させるのに、時間をかなり浪費したが…
ついでに畑も作った
理由は家畜同様だが、出費節約も兼ねる
屯所には百姓出の者も多数いるので、こちらはすんなり事が運んだ
湯殿の方も徹底管理させた
毎日入る事がなかった連中には、とことん##name_1##が説教
医療知識を持ち合わせる隊士はやはり少なく、かき集めても十人足らず
そこで急遽、監察方の山崎と島田が医療隊に配属になった
ただし彼等は基本監察方なので、時間があれば手伝う形式
また怪我人を集めて治療する目的の他、月一の健康診断場も兼ねる【医療室】を設置
この様な事もあり、幹部だけでなく、平隊士も##name_1##に一目置く様になった
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京を歩くと町人が、戦火を逃れる様なそぶりを見せている
千鶴はその光景を、複雑そうな表情で眺めていた
数日後
広間では##name_1##を除いた、幹部達が揃っていた
皆の話題は土方の生家で作る、石田散薬から池田屋の話に移る
「しかし藤堂君と沖田君が、怪我して帰ってくるとはなぁ…」
「あれは池田屋が暗かったから!普段の戦いなら遅れを取らないって!」
頬を膨れさせ、平助は声を張り上げる
「しかし##name_1##君の処置が遅かったら危ない所だったと、お医者さんは言っておったよ?」
井上に続いて、原田が口を開いた
「ああ、他隊士の手当ても見事だって褒めてたぜ。奥沢が助かったのも、あいつの処置が早くて的確だったからだろ?」
「そうそう、俺の手もあっという間さ。##name_1##は総司の所にも行ったんだろ?」
新八は水を渡しながら、沖田に問い掛けると、彼は静かに微笑む
「ええ…思い切り邪魔されましたけど。次があれば、勝つのは僕です」
そこへ襖をゆっくり開け、近藤が顔を出した
「――会津藩から伝令が届いた」
彼の一言で、空気が一変した
「長州の襲撃に備え、我ら新選組も出陣する様仰せだ」
歓声がどっと湧く
平助が参加したい、と駄々をこねるも、土方が一喝
「不参加に決まってんだろ。大人しく屯所守護に就きやがれ」
「土方さんの鬼!この鬼副長!!」
口を尖らせて土方に、平助は悪態を付く
すると再び襖が開いた
『…何の騒ぎだ?』
「兄さん!」
広間に顔を出したのは##name_1##、その手には書類の束を抱えている
ぐるりと広間を見渡すと、##name_1##は土方に視線を向けた
『出陣か?』
「ああ」
すると##name_1##は溜息を漏らし、沖田と平助を見やる
『…医療隊長の名の元に、沖田・藤堂両組長の出陣は却下』
きっぱりと一刀両断した##name_1##に、平助は押し黙る
医療隊長宣言は、副長の言葉と同等のを威力を持つ
『平助…トシを怒らせたら、簀巻き所じゃ済まんぞ?』
「…分かったよ…」
その事も知っている為か、はたまた##name_1##が窘めたからか
渋々納得した平助だったが、その表情は不満に満ちていた
浅く息を吐いた##name_1##は、千鶴へ視線を投げる
「千鶴。悪いがこの二人、見ててくれねぇか?」
「私が?」
千鶴は余程驚いたのか、目を瞬かせてた
『…この二人が大人しくしてると思うか?
山南さんが苦労するのが目に見える、お目付け役だ』
「…分かりました」
mae tugi
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