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彼らしい行動に、土方と青葉は苦笑を漏らす



「…少し遅かったか?迷惑かけまいと、走ってきたんだが」

「別に、あんたらしい話だろ。さっさと飯食いに行こうぜ」



土方は素っ気なく、背を向けた

青葉もそれに着いていく、背後からは近藤の弾んだ声が



「トシのはもっと酷いぞ。今でこそ勝手場に立たないが、昔作った雑炊なんかは――」

「――おい近藤さん!無駄話してんじゃねぇよ!」



近藤の話を耳した青葉は、ぽつりと呟く



『おい…雑炊位、まともに作れよ』

「…るせぇ」



***



広間に辿り着くと永倉と原田が、近藤にどうしたとばかりに言い寄ってきた

彼の人柄が、ここでも分かる



「では皆の衆。上手い飯を食って、今日もきりきり働いてくれ!」



近藤の音頭により、朝食が開始された



「…所で山南さんよ。どうやら俺の事で、朝から無駄に気ぃ遣わせちまったらしいな」

「無駄という事もありませんよ。寝起きが悪い副長を案じるのは、一隊士として当然の事です」



土方と山南が笑顔で、重く痛い空気を振り撒く

二人共笑顔な分、質が悪い



「うわ…あのさ千鶴、おひたし作ったのって総司?」

「そ、それはね…半分が沖田さんかな?」



平助が残念そうに言うと、千鶴は苦笑いを浮かべる



『味しねぇし…大方野菜茹でて醤油に浸したけど、辛過ぎって斎藤殿が洗い流したクチだろ…』



表情を歪めて青葉が淡々と述べると、斎藤が肯定する様に頷く



「その通り。俺は当然の処置をしたまで」

「これはやり過ぎだよ、一君!」

「こら、大声を出すんじゃない。雪村君が怯えてるじゃないか」



不満げに叫ぶ平助を、井上が窘める


朝食も無事に済ますと、千鶴は広間に残った

監察方の一部に、千鶴の事情を話す事になったからだ



『…大丈夫か?』

「…ちょっと疲れたかな?」



暫くしてから青葉は、千鶴の自室を訪れていた

よっぽど神経を張り詰めてたのだろう、表情に疲れが見えた



『そろそろ、昼か…』

「確か原田さん達が当番だったような…」



ガシャンッ!!



いきなり響いた大音に、二人は驚く

青葉と千鶴は、怒鳴り声がする廊下を覗くと――


あの沖田と斎藤と山崎が…一匹の猫を追い掛けて、疾走している姿だった



「ど、どういう事っ!?」


立ち尽くす千鶴と青葉は、駆け抜ける三人を呆然と見送る



「あ。千鶴、青葉」

『…こりゃ一体、どういうこった?』



そこへやって来た平助に、青葉は問い質す

千鶴はそれで、漸く我に返った



「あー…その辺を説明すると、すごく長くなるけどいいか?」

「う、うん」

「じゃ作戦会議しねぇとな!千鶴ちゃん、この部屋借りるぜ?」



突如湧いた永倉が、千鶴の部屋に入ってく



「俺も作戦会議に賛成!」

mae tugi