08:-13year W

「ネイガウス先生、最近お帰りが早い様ですが…何かありましたか?」



報告書を提出する際、突然フェレス卿から問いかけられた

隣には珍しく、任務を共にした藤本の姿


………ここは黙秘を通すか



「いえ。特にこれといって、ありません。では失礼します」



報告書を提出したならば、早々に立ち去ろう

何に巻き込まれるか、分かったものではない


日本の諺で言う【触らぬ神に祟りなし】だ



「………何だ、アイツ?」

「ここ最近、あの様な感じなんですよ。何かにつけ、早々に帰宅するんです」

「嫁さんでも貰ったか?」

「でしたら私に、報告しても良いでしょう?何故内密にする必要があるんです?」

「…そうだな…」

「「…怪しい/ですね」」



二人がそんな会話をしていたなど、早々に立ち去った俺は露知らず

だが俺はそんな二人より、目下問題児の元に向かっていた


正十字騎士団日本支部に所属する者は、一部を除いてフェレス卿が用意した寮に住んでいる

因みに一部とは藤本の様に、正十字騎士団直営の教会の神父等をしている者を指す


また寮は独身寮と世帯寮に別れている

世帯を持つ祓魔師は独身寮より、広く作られた世帯寮に住まう



「………またか」



インターホンを何度鳴らしても、何の気配無し

仕方無く鍵を取り出し、部屋に入ってみる



「…………はぁ」



リビングに足を運んでみれば、そこは本が山の様に積み重ねられ

その中心にはポツンと、幼子が夢中で活字を追っていた



「…何度言えば分かるんだ、コイツは…」



先日拾った幼子は、異世界から来たと言う

俺も最初は信じていなかったが、【証拠】を見せられては信じるしかなかった


そして現在

コイツはこの世界の知識を、驚く程の速さで吸収している

……ただ集中し過ぎて、周りが見えていないのが難点だが



『んぁ?…あ、おかえりなさい』

「あぁ……またかお前は」

『………あ』



周囲を見渡し、苦笑を浮かべる

これは今に始まった事ではない



「きちんと食事は、取ったんだろうな?」



そう問いかけると本人の答えより早く、腹の虫が答えた



「…お前、また食事も取らないで…」

『ご、ごめん…なさい…』



かわる にちじょう



(…食事にする。片付けてこい)
(らじゃ!!)


>ネイガウス視点
住まいとかどうなってるんでしょう?

11.09.12.

[] [top]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -