52:-8year U

『結城です。宜しくお願いします』

「今日が免許を取って、初めての任務だったね?緊張せずに行こう」



本日は、免許を取得してからの初任務



「本日の任務内容を説明しよう。とある森に虫豸が大量に巣食い、付近の住民に被害が出ている」



虫豸の大量発生ってか



「まず原因解明と、住民への被害の阻止を第一優先。もし住民に多大な被害が出る様なら…」



指示を出す祓魔師の方は、悪魔との戦闘を極力避ける主義で有名な人だ

それは即ち、周囲の被害も減らす目的もあるからだ


だが不満を持つ者は、いるんだよな



「しかし!」

『……あのー』

「何だ?」



つまりは虫豸達を説得すりゃ良いんだろ?



『虫豸達を何とかすれば良いんですよね?』

「それが出来れば苦労しねぇだろ!」

『出来ますけど』



………………………



「ウソ、だろ?」

『こんな時に冗談言って、どうするんです』

「新入りがどうこう出来る訳ないだろ!」



いや、俺はアンタらに聞いてねぇし



「…………よし。任せよう」

「なっ!?」

『了解』



軽く会釈をすると、俺は問題の森へと踵を返した



『さて、と』



おー、おー。うじゃうじゃいるねぇ


虫豸達が巣食う森に、俺は躊躇無く足を踏み入れた



■■■



その頃



「あんな新入りに、何を任せてるんですか!」

「そうですよ!」



俺が不在中、他の祓魔師から不満が絶えなかった

ま、そらそうだわな



「……大丈夫だ」

「何で、そんな言い切れるんですか?」

「……目がな。揺らいでなかったんだよ」



■■■



【ギギギッ!】

『そうか…お前等も苦労してたんだな…』

【ギ!】



俺はというと…虫豸達とのんびり談話中



『ってもな。ここにいたって、無意味じゃね?』

【ギギ…ギギッ、ギギ…】

『うーむ、難しいな…だったらよ。正十字学園の森に来るか?』

【ギ?】

『アソコにゃお前等の同族がいんだよ。まぁ、手騎士に飼い慣らされちまうが、まだココよかマシだろう?』

【…………ギギッ!】

『そか!責任者には俺から言っとくから、安心しとけ』

【ギキッ!ギッ!】



これならもう安心だな


………

……………



「結城っ!」

『終わりましたー』

「つかよ…アレ、虫豸の群れ…」



指差す先は空の向こう

虫豸の大群が、どこかに目指している



『あー。学園の森林区域に向かわせましたわ』

「ど、どうやって!?つか学園森林区域!?」

『話したら分かってくれましたよ?ま、理由は後で…面倒臭い仕事があんですよ』

「面倒?」



驚愕の表情が並ぶ

俺の視線は、民家へと向いていた



『虫豸の大量発生の原因は…住民達の不法放棄が原因だ』



はじめての にんむ



(…本当の被害者は、虫豸達だったんだよ)
(時に人は、悪魔以上の悪魔になる)


>人の心は時に最強の凶器となりうる

12.11.17.

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