『結城です。宜しくお願いします』
「今日が免許を取って、初めての任務だったね?緊張せずに行こう」
本日は、免許を取得してからの初任務
「本日の任務内容を説明しよう。とある森に虫豸が大量に巣食い、付近の住民に被害が出ている」
虫豸の大量発生ってか
「まず原因解明と、住民への被害の阻止を第一優先。もし住民に多大な被害が出る様なら…」
指示を出す祓魔師の方は、悪魔との戦闘を極力避ける主義で有名な人だ
それは即ち、周囲の被害も減らす目的もあるからだ
だが不満を持つ者は、いるんだよな
「しかし!」
『……あのー』
「何だ?」
つまりは虫豸達を説得すりゃ良いんだろ?
『虫豸達を何とかすれば良いんですよね?』
「それが出来れば苦労しねぇだろ!」
『出来ますけど』
………………………
「ウソ、だろ?」
『こんな時に冗談言って、どうするんです』
「新入りがどうこう出来る訳ないだろ!」
いや、俺はアンタらに聞いてねぇし
「…………よし。任せよう」
「なっ!?」
『了解』
軽く会釈をすると、俺は問題の森へと踵を返した
『さて、と』
おー、おー。うじゃうじゃいるねぇ
虫豸達が巣食う森に、俺は躊躇無く足を踏み入れた
■■■
その頃
「あんな新入りに、何を任せてるんですか!」
「そうですよ!」
俺が不在中、他の祓魔師から不満が絶えなかった
ま、そらそうだわな
「……大丈夫だ」
「何で、そんな言い切れるんですか?」
「……目がな。揺らいでなかったんだよ」
■■■
【ギギギッ!】
『そうか…お前等も苦労してたんだな…』
【ギ!】
俺はというと…虫豸達とのんびり談話中
『ってもな。ここにいたって、無意味じゃね?』
【ギギ…ギギッ、ギギ…】
『うーむ、難しいな…だったらよ。正十字学園の森に来るか?』
【ギ?】
『アソコにゃお前等の同族がいんだよ。まぁ、手騎士に飼い慣らされちまうが、まだココよかマシだろう?』
【…………ギギッ!】
『そか!責任者には俺から言っとくから、安心しとけ』
【ギキッ!ギッ!】
これならもう安心だな
………
……………
「結城っ!」
『終わりましたー』
「つかよ…アレ、虫豸の群れ…」
指差す先は空の向こう
虫豸の大群が、どこかに目指している
『あー。学園の森林区域に向かわせましたわ』
「ど、どうやって!?つか学園森林区域!?」
『話したら分かってくれましたよ?ま、理由は後で…面倒臭い仕事があんですよ』
「面倒?」
驚愕の表情が並ぶ
俺の視線は、民家へと向いていた
『虫豸の大量発生の原因は…住民達の不法放棄が原因だ』
はじめての にんむ
(…本当の被害者は、虫豸達だったんだよ)
(時に人は、悪魔以上の悪魔になる)
>人の心は時に最強の凶器となりうる
12.11.17.
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