47:千客万来だな

「刹さん!」

『ん?』



医務室から退出しようとしたら、神木に呼び止められた

あ、しえみもいる



「少し、お話良いですか?」

「ご相談、に…乗ってもらいたく、て」

『燐の事か?良いぜ、来な』



ふむ…女の子は動きが早いねぇ。感心感心



「刹さんは奥村を、どう思っていますか?」

『ブハッ!こらまた、単刀直入に来たねぇ』



寧ろ真っ向過ぎて、潔し

嫌いじゃないぜ、そういうの



「もぅ…笑わないで下さい」

『悪ぃ悪ぃ…燐をどう捉えてるかだっけ?出来の悪い手間の掛かる弟』

「それだけ、ですか?」

『それだけ』



神木もしえみもポカーンとしてら

ま、当然っちゃ当然か



『俺にとって青焔魔の血と力は、オマケみてぇなもんだからな』

「オ、オマケ…?」

『あぁ、オマケ。青焔魔の血と力が有っても無くても、アイツは救い様のない馬鹿だ』

「「………ブッ!」」



二人は暫く呆けていたが、急に吹き出した



「確かにアイツ、ホント馬鹿よね」

「真っ直ぐで、迷いが無いって言うか…」

「単に考えてないだけよ、アレは」



やっぱ可愛い女の子には、笑顔が似合う



『その馬鹿が、馬鹿なりに頑張ってるからさ。ま、いつも通りに頼むよ』

「……面倒だけど。ま、良いわ」

「はいっ!!」



女子陣、終了っと


■■■


「刹。ちょお、ええやろか」

『勝呂?…あぁ、燐の事?』

「あぁ…」



女子が立ち去った後、今度は勝呂が現れた



『んじゃま面倒だから…後ろに隠れてる、三人も一緒な』

「はぁ?…お前らっ!?」



勝呂が振り向くと、そこには気まずそうな志摩と子猫丸、無表情な宝が



「ハハッ…バレとったんですか?」

『バレバレ』

「刹さんには、敵いませんなぁ」

「"畜生!何で気付くんだよ!!"」



…宝が京都組と一緒にいるのは、珍しい光景だな



「…刹さん。奥村くん、怖ぁないんですか?」

『何で?』

「なんで、って…そりゃ…」

『馬鹿を怖がる必要が、一体何処にある?』



…………………………



「言い切りおった!!」

「…なんでや!?」

「子猫丸?」



そこに俯いていた子猫丸が、ポツリと漏らす



「サタンの息子やのに、なんでや!?」



子猫丸の悲鳴の様な叫び声が響く



『ってもな。青焔魔の血と力以外、馬鹿は変わらんし』

「"力の暴走が全く無いとは、言い切れないだろ!この野郎!!"」



確かに、宝の言い分も最もだ



『あぁ…そこは霧隠先生が、力のコントロールの指導するんじゃね?』

「霧隠先生が?」

『霧隠先生は魔剣の扱いに精通してるらしいからな』

「………それでも…」



まだ駄目かい…

まぁ。子猫丸は青い夜で、両親亡くしてるから余計か



『アイツは、自分の運命にあがらっている…それだけは理解してやれ』



男子陣、微妙な所


■■■


「刹さん、少し宜しいですか?」

『…今日は千客万来だな』



勝呂達の次は、雪男に呼び止められた

本当に今日は良く来るな


「はい?」

『いや何でも。燐の事、でしょう?』



本題を口にすると、雪男は静かに首を縦に降る



「はい…単刀直入にお聞きします。刹さんは兄の事を…」

『薄々は感付いていた。私の師は、貴方方の養父の教え子だったらしいからな』

「そう、だったんですか…」



嘘は言ってない、嘘は

ネイガウスさんが、獅朗さんの教え子なのは事実だ


………最初から知っていたとは、流石に言えん



「刹さん、色々とありがとうございます」

『…いきなり何を…』



何故か雪男に頭を下げられた…何もしてねーぞ?



「皆さんの相談に乗って下さったり…兄のフォローをして下さったり、本来それは僕がするべきなのに…」

『あぁ、気にせんで下さい』



んだよ、んな事か



「ですが…!?」

『霧隠先生曰く、私ゃ委員長らしいんで』



ニヤリと笑ってやると

目を瞬かせながら、雪男はポツリと呟いた



「……いい得て妙ですね…」




委員長の仕事

(不協和音再び)
(つかどうにかすんの、俺か?)

>原作14話後

12.07.12.

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