45:代わりは、誰も出来ない

結局道化が俺を離したのは、それから暫く後で

森は燐の炎に包まれている


これがお前の望んだ結果か、道化?



「いやぁ、青いなぁ…まるで、あの夜のようじゃないか」



……面倒なのが来たよ、温室育ちが


あれから【現・聖騎士】のエンジェルにより、燐は三賢者(グリゴリ)の懲戒尋問を受ける事になり

他の訓練生達は雪男の引率により、医務室へ連れていかれた


……本当にどうすっか



■■■



「兄は…"奥村 燐"は…約15年前サタンの憑依体と、人間の間に生まれた子供です。サタンの青い炎の能力を継いでいます」



医務室に静かに入ると、丁度雪男が訓練生達に説明に入った所だった



「あ、あの…先生は確か…奥村くんと、双子のご兄弟でしたよね?」

「僕は炎を継いでいません」



正確には"継げなかった"んだ



「毎日検査も受けてますが、不思議とただの常人です」



雪男は未成熟児で産まれた

恐らくそれ故だろう
身体の弱い彼には適合せず、健康体であった燐に、炎が適合したのだろう



「炎が降魔剣で抑え切れなくなり、覚醒したのは3ヶ月ほど前。それまでは本人も自分が、何者かは知らずに育ったんです」

「何で…何が目的で、育てられたんや?」

『ソレを知りたきゃ理事長に聞け』

「刹、さん?」



今まで黙ってはいたが、ちと挟ませて貰うぜ



「一体今までどこに?」

『道化に足止め喰らった』

「は?」

「それよか、どういう事や!?」



勝呂が苛立ちを抑えるかの様に叫ぶ



『理事長は騎士団の名誉騎士だ、全てを知っていても可笑しくはない…が』

「が?」

『あの人がすんなり教えると思うか?つかまずお前ら、理事長の考えを理解出来るか?』

「そ、それは…」



ふむ…もう一息、だな



『"奥村 燐"は奥村 燐だ、青焔魔ではない』

「せやけどっ!!」

『アイツの代わりは誰も出来ない』



息を呑む音が、嫌に響く



『お前等、今まで燐と接してきただろ…【これだけ】でアイツを否定すんだな?

…堕ちたな、お前等』

「なっ!?」



皆の表情に怒りが浮かぶが、んなの知ったこっちゃねぇ



『あの馬鹿が好きで青焔魔の息子やってんじゃねぇ事位、餓鬼じゃねぇんだから分かるだろ。燐と青焔魔を一緒くたにすな、燐は燐だ』

「刹…さん」

「それとな。肉親の目の前で、不用意な発言は控えろ。奥村先生はお前等と同じ年だ、ちったぁ配慮しやがれ』



そこまで言うと、俺は苦笑しながら盛大に溜め息を漏らす



『…アイツは心底馬鹿だからな。お前等にだけは嘘、付きたくなかったんだろうよ』



本当の君を知って

(…さてはて。どう転ぶ)

>迷いましたが原作ベース+アニメで

12.03.29.

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