43:何を企んでいる?

「杜山さん?どこ行くんや?」

「にょ!?」

「『しえみっ!?」』



子猫丸の声に振り向いてみりゃ、しえみが結界の外へ歩み出してるじゃねぇか!

ちょ、待てぇ!?しえみ、お前一体どうしたぁ!!



「おいおいおい!誰か止めろっ!!」

『あれはっ!?』



しえみの首筋にあるのは……虫豸の卵っ!?いつの間に!?

円を出た所で彼女の側に、アマイモンが降り立った


……おい、テメェ。何考えてやがる



「その娘に何をした!?」

「虫豸の雌に卵を産み付けて貰っただけです。孵化から神経に寄生するまで、時間が掛かりましたが…晴れてこの女はボクの言いなりだ」

「くっ!」

「ビヨーン」



しえみを抱え、アマイモンは空高く飛びやがった

あの野郎っ!



「まて!このトンガリ!」

「コラ!お前が待て!!」



燐!お前は!!



『ったく!黒凪、待機!候補生の護衛!』

【悪魔使いが荒いなぁ…】



小気味良い音をたて、漆黒の小柄な蛇が姿を現す



「うわぁ!蛇っ!?」

『俺の使い魔だ!燐を回収してくる!』

「ってオイ!結城っ!?」

「刹さんっ!?」



駆け出すと同時に、アマイモンのペットが道を塞ぐ



『邪魔だ!退け!』

「…………すげ」

「アマイモンのペットを蹴るヤツなんて、アタシは初めて見たぞ?」



■■■



「アインス☆ツヴァイ☆ドライ!!」

『っ!!』

「そこまでです、刹」



燐の元へ向かおうとしていた俺だったが、急に身体を樹木に縛り付けられた

空を見上げると、不適に笑むメフィストの姿が



『道化ぇ!テメェ、邪魔すんなぁ!!』

「おやおや…何て言葉使いでしょうか。年頃の女性がはしたないですよ☆」



…………こんな時に、親バカ炸裂してんな



『何を企んでいる?』

「企むとは失敬な」

『テメェがんな嘘臭ぇ笑顔を振り撒いてる時は、大概下らない事を企んでる時だ』



どんだけの付き合いだと思っていやがる



「嬉しいですねぇ。私の事をそんなに理解して下さっているとは、歓喜の極みです☆」

『話を逸らすなぁぁぁ!!』



突然、響き渡る轟音

背中に冷や汗が流れる



『…燐にアマイモンを宛かうのは、ちと厳し過ぎやしねぇか?』

「――…彼には知る事が山程ある」



先程の巫山戯た雰囲気が一変した

それと同時に、青い炎の火柱が上がる



「彼はまず、己の欲求を知るべきだ」

『上層部(うえ)に、知られてもか?』

「はい☆」



満面の笑みで応えやがった…コイツ…



「貴女もご存知の通り、悪魔は常に否定する快楽の求道者に対し」



メフィストの瞳が、細く険しいものになる



「人の営みは中道にして、病みやすい」



………俺は、それに当てはまらないが


燐は確かに青焔魔の血と力を受け継ぐ

だが…肉体は物理界、炎は虚無界のモノ


彼は人間に最も近い悪魔、とも表現出来るのだ



「さぁて。どちらに進もうか」



求道者

(つか早よ離せ)
(ダメです☆)

>道を選ぶのは君

12.02.22.

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