38:-11year Y

「刹ー」

『獅朗さん?』



突然獅朗さんがやってきた
しかも何故か、雰囲気が暗い



「…相談に、乗ってくれ…」

『は、はぁ…』



何時もと違う彼に、戸惑いながらも部屋に上げた



■■■



『燐が?』

「……あぁ」



獅朗さんの背後に、黒いモヤが見える…こりゃ重症だな


四歳になった奥村兄弟は、近所の幼稚園に入ったのだが

兄の燐が力のコントロールが出来ず、周りの子供に怪我をさせたという


確かに燐は雪男と違い、昔から元気過ぎる節があった

しかし良く良く考えれば、年頃の男の子と比べたら元気過ぎる



『………まさか』

「………恐らく、な」



青焔魔の影響、か

まさかこんな形で出て来るとはな…



『……ルー、制御は出来るもんなの?』

【出来ない事は、ありませんが…】



お茶のお代わりを注くルーに問いかけると、何故か口ごもる

つか最近、お前オカンになってね?



【力のコントロールは、出来ない事もありません。ただ現段階では難しいかと】

「どういう事だ?」



ルーの言葉に、獅朗さんが眉を潜める

するとルーは真っ直ぐに彼を見据え、再び口を開いた



【原因は青焔魔の血、でしょう。力を封じても、彼の血のには強い力がある…その力に燐若君は、引きずられているのではないかと】

『……現場見てねぇから、確証は出来ねぇと?』

【……はい】



厄介だな、オイ



【燐若君は齢四歳…コントロールするにも、難しいお年頃ですし】

『その問題があった…』



…四歳の燐が、力のコントロールの修行出来る訳ねぇ



「どうすりゃ良いんだよ…」

【どうもこうも、ないでしょう。貴方は貴方らしくあれば良いのです】

『どういうこっちゃ?』



首を傾げる俺達に、ルーはクスリと笑って続けた



【若君達の父親は、紛れもなく藤本…貴方です。貴方以外誰がいると仰るんです?】

「い、いや…それは…ネイガウス、とか?」



戸惑う獅朗さんは何故か、ネイガウスさんの名前を口にする

…いや。確かに奥村兄弟に、懐かれてるけどさ



『ネイガウスさんは俺の保護者』

「…そでした…」



何を言い出すんだ、オッサン



【藤本…若君達がどんな大人になって欲しいですか?】

「んー…仲間に沢山囲まれて、女にもモッテモテのカッコイイ人間?」

『…それ、獅朗さんの願望じゃ…』



女、以外は当てはまるけど…



【それをお伝えなさい】

「は?」

【子供は知らず知らず、親の背中を見ているものです。藤本 獅朗…貴方はちゃんと、若君達の父親ですよ】

「……………そか」



それから暫く雑談し、獅朗さんは笑顔で帰って行った

それとすれ違いに、ネイガウスさんが仕事から帰宅



「今、帰った」

『お帰りー』

【イゴール、今日は早かったですね】

「あぁ……誰か来ていたのか?」



団服を脱ぎながら、ネイガウスさんはテーブルのカップを見やる



『獅朗さん』

「藤本が?」

【子育て相談、と言った所でしょうか?】



苦笑しながらルーが簡易に説明すると、ネイガウスさんは盛大な溜め息を漏らす



「…また、か」

【藤本にも困ったものですね…若君達を引き取って早や、四年。未だに父親としての自信が、持てずにいるとは】

『仕方無いだろ、そればっかは』



こそだて そうだん


(しかし…何故毎回、俺の所に来るのだ?)
(ルーがいるから)
(…………成る程)


>原作11話回想に繋がります

11.11.24.

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