37:合宿、か

「……もうすぐ夏休みだな」

『もうそんな時期?早っ』



一学期も終わりかぁ。あっという間だな



「……て、事は」

『合宿、か』



懐かしいなぁ…ホント



「大丈夫かね?何やらフェレス興が動き出しているぞ」

『道化が……大丈夫っしょ』



色々と不安要素が頭を過る

……ついネイガウスさんから視線を逸らす



「……そう言う台詞は、俺を見ながら言え」



■■■



「皆さん。今日から楽しい夏休みですね!」



終業式後

塾生は学園町内を走る、路線電車の前にいた



「――ですが候補生の皆さんは、これから3日間。"林間合宿"と称した実践訓練に参加して貰います」



三日間という期間なので、皆荷物がデカい



「引率は僕奥村と、霧隠先生が担当します」

「にゃほう」



この訓練は、ただの訓練と違う

実践任務に参加出来るか否かの、テストも兼ねてる


今回は抜き打ちじゃねぇが、下級悪魔がいる森林区域だからなぁ…


つかそれ以前に辿り着くまでに、全員の体力が持たなそうだ

…全く、最近の若いヤツは…燐は別だが



「何気に奥村くんって、体力宇宙ですよね」



途中湧き水が沸いている所で、燐がはしゃぎまくってる



『燐、少しは落ち着け』

「…刹さんも、凄い…」



君達と鍛え方、違うから

んで



「拠点となるのはここです」



日暮れ前には何とか到着

…燐以外全員ヘバっとるわ



「男子は僕と、テント設営と炭おこし。女子は霧隠先生の指示に従って、周囲に魔法円の作画と夕食の支度をお願いします」



…夕飯…嫌な予感がするんですが…



「じゃ、始めましょうか!」



あ、脱いだ。やっはり我慢してたな



「ようやく脱がはった」

「超人かいな、思うたわ」



さてここからは、役割分担

男子は只今テント設営中、俺達は魔法円の作画


………燐、はしゃぎ過ぎ



「あはは、楽しそうだね!」

「何が?暑苦しいだけじゃない…」



作画の手を止め、神木としえみが男子陣を眺める



『あれはただ、はしゃいでるだけだ…』



……しかしシュラ、お前は何をしとんだ?

仕事せぇ、仕事



『ほれ。ちゃっちゃか済ませて、メシ作るぞ。霧隠先生、手伝わないなら夕飯抜きですからね』

「うぇぇぇっ!?」



木の枝の上でゲームなんぞ、やってっからだ。阿呆



「(……この人が一番マトモかも)」



時間は流れ



「痛っ!!」

『…おーい…』



夕食の支度時、俺の嫌な予感は的中


神木は包丁をまともに扱えず…しえみはカレールーを、珍しそうに眺めてる

シュラは全然手伝わん


……これで夕食の支度、出来るか!!



「あ〜、見てらんねぇ…貸せっ!」



そこに降って来た救いの声は燐

その手際の良さに、俺は安堵の息を漏らす



『燐、悪ぃ。そっち頼むわ』

「あいよ」



燐にカレーを任して、俺はご飯を炊いて、サラダの用意

鍋の周りでは他の塾生達が、歓喜の声を上げていた



「うええ〜!?うめぇ!まじか!!」

「これはどこへ嫁がせても、恥ずかしくない味や!」



火を囲み、食事にすると皆が口を揃えて絶賛

確かに美味いわ、コレ



「奥村くん、お料理上手やったんやねぇ」

「ま、まーな!っても刹姉も上手いぞ!!」



俺は飯炊いて、サラダ作っただけだっーの



『いやいや、燐。お前マジで美味いぞ、コレ』

「奥村くんの、唯一生産的な特技です」

「黙れホクロメガネ!!」


意外な特技


(……しかし吃驚だ)
(まさかここまで似てるとは)

>燐の料理はお姉さんの味

11.11.19.

[] [top]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -