36:-11year X

「とうさん、まだかな…」

「おそいね…」

「『…………」』



獅朗さんが長期任務に行き、そろそろ一月。だが彼はまだ、帰還していない

不安に駆られる双子は、ここ最近毎日窓越しから外を眺めていた



「…何をしているのだ…藤本は…」

『参った…ここ最近二人共、寝不足だし…』



こればかりは、俺達でもどうしようもない

血の繋がりが無いとはいえ、やはり獅朗さんは二人の父親なのだ



『獅朗さんが帰還するまで、何か気を逸らせられるモノがあれば…ん?』

「どうした?」



テーブルにあった新聞の一面に、俺の目は引かれる



『…ネイガウスさん…【コレ】、使えないかな?』

「……成る程な」



■■■



その夜



「「わぁー!!」」

「夜遅いのだ。二人共、静かにせんか」

「「…はぁい」」



修道院の中庭にシートを引かれ、奥村兄弟がはしゃぎながら夜空を見上げる

苦笑しつつそれを、ネイガウスさんが叱咤…親子だ、親子にしか見えない…



『二人共、ちゃんと暖かい格好しな』

「「んっ」」



こんな夜更け、外にいるのは…



「あ、にいさん!ながれた!」

「ほんとだ!せつねぇ、ほしがながれた!」

『おぉ、こりゃ凄い』



今夜は大規模な流星群があると、新聞の一面に経済されていたのだ



「これは、壮観だな」



流星群なんて滅多に見れんからな

二人の思い出にもなるし、獅朗さんがいない不安が紛れんだろう



『流れ星が消える前に三回、願い事を言えば叶うんだよ。知ってた?』

「ほんとっ!?」



おお…目を輝かせてまぁ



「口で言ってはならぬ。心の中で言うのだ」

「うん、がんばるっ!!」



キラキラと希望に目を輝かせ、二人は空を見上げる

ふと隣のネイガウスさんに、小声で聞いてみた



『何?【コッチ】では、そうなの?』

「フッ…願いを口にしたら、叶うものも叶うまい」



………………え?



『うわっ!キザッ!てか意外とロマンチストっ!?』

「五月蝿いっ!!」



見掛けによらないなー

あ、照れてら。そっぽ向いたって、耳が赤くなってんの分かるぞ



「「できた〜」」

「叶うと良いな」

「「うんっ!!」」



どうやらネイガウスさんが言ってた事が出来た様で

満面の笑みで二人が、こちらに駆け寄ってきた


ネイガウスさんは思わず柔らかな笑みを浮かべ、二人の頭を撫でる

………ありゃ、無自覚だな



『…………あ』



修道院の入り口に、感じ慣れた気配が一つ

どうやら二人の願いが、叶った様だ



「たでぇまぁ…今帰ったぞぉ…」

「「……かなった!!」」



やはり、と言うか…二人の願い事は、獅朗さんの早急の帰還

それが叶ったからか、二人は獅朗さんへと駆けて行った



「『やっぱり/やはりな」』



ほしに ねがいを


(流れ星に願い事ねぇ…そういや刹はしたのか?)
(家内安全、健康第一、日々平穏)
(……それは違うぞ、刹)



>夢主は現実的、ネイガウス先生は実はロマンチスト

11.11.16.

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