27:慣れたら駄目でしょ

『停職処分、ね…』

「仕方あるまい」



燐を襲撃した翌朝

ネイガウスさんの処分が下った



『道化の策に乗った、ってのが気にいらん』

「相変わらずだな…まぁこれで【自覚】してくれれば良いがな」



その言葉を聞き、俺は空を見やる



『青焔魔の落胤…燐はそれを背負う限り、怨み辛みをぶつけられる』

「恐れ…戸惑い…拒絶…全ての負のモノが降り掛かる」

『ソレを受け止め、乗り越えない限り…燐は、祓魔師にはなれない』



燐自身が選んだ道だ

俺達がどうこう言っても、決して彼は揺るぎはしないだろう


…だが。燐は【大切なコト】に気付いてない



「…早く気付いて貰いたいものだ」

『…馬鹿だから、早々に気付かないよ』



そこまで言うと俺とネイガウスさんは、互いに顔を見合わせて深い溜め息を漏らした



「『………ハァ」』



■■■■■



全員候補生昇格決定っ!!

んでメフィストがもんじゃを奢るって…何でもんじゃなんだよ!?



「兄さん、どうかしたの?」

「ん…いや…」



腹が満腹になったトコで

俺はラムネ片手に店先のベンチに座って、ぼんやりと空を眺めてた

後ろから聞こえるのは、雪男の声



「…もしかして、ネイガウス先生の一件?」



俺の隣に座った雪男は、小さな声で話す

こんな話、勝呂達には聞かせらんねぇからな



「…雪男、俺な…先生に言われたんだよ」

「言われた、って何を?」

「…【覚悟しておけ……そして、自覚しろ。貴様の歩む道の険しさを】…って」



………あの時

ネイガウス先生がすれ違う時に、俺に言った言葉

それが頭にこびりついて離れない

横では雪男が目を見開いて、驚いてる



「…どういう事?」

「わかんねぇよ…ただ…」

「ただ?」

「何かさ、先生が俺にアドバイスしてるみてぇに聞こえんだよ」

「まさか!?兄さんはっ…!」



雪男の言いたい事は分かってるさ

確かに俺は先生に殺されかけた


けど…あの時の言葉を言った、ネイガウス先生の表情は…

すっげぇ悲しそうな表情で…恨みで俺を殺そうとした人に見えなかった



「わかってるよ…でもな…俺が進もうとしてる道が、どんなんかは…雪男だって分かりきってんだろ?」

「それは…」



俺が選んだ道は、他の皆とは違ぇ

だからか…ネイガウス先生の言葉が、何となくそう取れるんだ



「それ考えっとよ…何かさ」

「…まるで兄さんに、再確認させるかの様な言葉だね」



首を傾げながら雪男は、考え込む


雪男にゃ言えねぇが…俺、ネイガウス先生を嫌いになれねぇ

何っーか…ジジィとは違う温かい感じがすんだ…あの声もどこか、懐かしい気がするし

……見た目、アレだけどな



「イマサラだけどな。嫌われてんのは慣れてら」

「……慣れたら駄目でしょ」



ほんの少しの成長


(君の周りは荊だらけ)
(だが、全てを背負う必要はない…気付くのだ)

>奥村兄弟対話in燐視点
夢主が絡んでない…

11.10.17.

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