19:よーやったよ

「分電盤だ!」



…確か、これで電気をつけたり、消したりすんだよな?



「やっぱ全部オフになってんじゃねーか!」



コイツを上げりゃ、電気がついて屍は…



「っお!?」



あっぶねぇ!ぐ、屍!?まさか2匹いたのか!?



「のやろぉ…邪魔すんなっ!!」



ちくしょう!こんなトコで立ち止まってるヒマなんてねぇんだ!!

…仕方ねぇ!!



「そうそう、その炎が見たかったのだ。その、青い炎を」



急に聞こえた低い声。ちょ、待て…この、声…



「人前では力は使えぬ様なので、誘い出させて貰ったぞ」



この声…やっぱ、どっかで聞いた事がある

…遠い…とおい、昔に……



「…奥村 燐…青焔魔の息子よ」



■■■



燐の方は、多分大丈夫だろう

詠唱だが子猫丸は終わり、勝呂の詠唱も最終章に入った


…俺も何かせにゃいかんが、怪しまれない奴で転機になる奴…いたか?



「杜山さんっ!?」



しまった!しえみの体力が尽きちまった!!

しえみが倒れたと同時に、木のバリケードは霧散していく



「のやろっ!!」



志摩が無我夢中で屍に錫杖を叩き込むが、効果は無い…アイツがいた!



『退け、志摩っ!…゙我が声に応えし者よ、その力我に示せ 黒凪(くろなぎ)゙!!』

「蛇(ナーガ)!?」



呼び出したのは、全身漆黒の蛇。これで多少違う筈!



■■■



「何で知ってる!何で先生が!?」



…やはり…覚えてないか。仕方あるまい…



「昨日のも今日のも、てめーがやったのか!?」

「…まぁそうだ。それよりもっと良く見せろ、その炎(ちから)を…」



そう。私に見せろ

お前の、成長した姿を…



■■■



「ちょっと、アンタ!!」

「…か、みき…さん…」



背後で神木がしえみを、揺り動かしている…あんま動かしてやんな



「しっかりしなさいっ!!」

「…きょうは…いつもの…神木さんじゃ…ないみないだよ…大丈夫?」



お?しえみに言われて、よーやく目が覚めた様だな


…そうさ、神木。それで良い

お前はお前だ、自身を貫け!!



「ぐぁっ!?」



今まで屍の進行を防いでた志摩が、吹っ飛ばされた

直ぐ様俺は蛇を戻し、志摩へと駆け寄る



『志摩っ、錫杖借りるぞ!!』

「刹さんっ!?」

『てめぇの相手は俺だ!』



まだ詠唱途中の勝呂の前に、素早く入り込む

屍の攻撃を錫杖で受け止めたが…重っ!!



『っ!!』



……来たっ!!

後ろで神木の詠唱と同時に、俺は屍から後ずさる



「…゙霊の祓!!゙」



白虎二体による攻撃は、屍を倒したかに見えた

だが屍はその攻撃すらも、弾き返してしまう


そして屍の魔の手は、詠唱中の勝呂に伸びる



「坊っ!!」

『…っ…勝呂を、離しやがれぇ!!』



子猫丸の悲鳴が響く

俺は錫杖を思い切り、屍の腕に叩き込む


痛みに唸る屍は、勝呂を手放してしまう

その瞬間だった、部屋の明かりが灯ったのは



「゙…その録すところの書を載するに 耐えざらん!!゙」



勝呂が詠唱を唱えきると、屍の身体は土煙の様に消えていった

子猫丸が血相を変えて、勝呂へ駆け寄る。俺も錫杖を持って、勝呂の元に歩む



『……生きてっか、勝呂…』

「し、し、し…」



恐怖の余り、勝呂の口調が震えている

…こればっかは、仕方ねぇな



『…よーやったよ、お前』

「おい!皆、無事かっ!?」


軽快な足音をたてて入って来たのは燐

皆が呆然とする中、俺は燐に歩み寄る



『……りんく〜ん?』

「あ、あの…こ、この手は、何でしょうか?」



オマエの頭を鷲巣かみしてんだよ



『無茶すんのも大概にしとけぇ!!死にてぇのかぁ!?』


「す、スンマ、セン…』


アトラクション終了


(ったく…趣味悪ぃ)
(…さて…どうなる事やら)

>燐→夢主→ネイガウス→夢主。視点変えすぎて長っ…燐視点はムズい…

11.10.03.

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