17:本当に良いのか?

「昨日の屍…!?」



神木、正解

さて。俺はどうすっか…下手に動けねぇ…

てな事を考えてたら、屍が体液を吹っ掛けてきやがった



「ニーちゃん!ウナウナくん出せる?」

【ニーッ】



しえみの使い魔から、木のバリケードが出て来た!!

って、緑男ってこんなんだっけ?



「ありがとね、ニーちゃん」



屍二体かよ、またベビーな

屍は暗闇で活発する悪魔だ、今の状況は連中にとって好都合だろう


すると突然、全員が咳き込み始めた



「えっ!?皆…どうした?」

「屍の体液を被ったせいよ…あんた、平気なの!?」



……まぁ、そら平気だろ

つか俺も平気なんだが…ここは苦しいマネ、しとくか



『不味いな…しえみの体力はそうねぇぞ』

「刹の言う通りや…杜山さんの体力が尽きたら、このバリケードも消える…」

『…そうなったら仕舞いだ』



燐は雪男の携帯に掛けた様だが、出ない様だ

すると燐はバリケードへと歩み寄る……嫌な予感



「俺が外に出て囮になる。うまく二匹共、俺についてきたら、何とか逃げろ」

『馬鹿言うな!!』



言うと思ったよ!本当に頼むから、オツム成長してくれ!



「奥村っ!!」



俺や勝呂が止めるのも聞かずに、燐はバリケードの奥へと行ってしまった

だが燐に着いていったのは一匹…もう一匹は、俺等で何とかするしかねぇ



『ったく…ぼさっとすんな!屍を叩くぞ!!』

「叩く言うたって…」



渇を入れてみるが、全員腰が抜けてる

だが一人、瞳の色が変わった奴がいた



「…詠唱で倒す」



勝呂だ。その判断は適切だ、現状で有効な手段はそれしかねぇしな



「坊…でもアイツの゙致死節゙知らんでしょ?」

「知らんけど、屍系の悪魔ばヨハネ伝福音書゙に致死節が集中しとる」



うむ、良く勉強しとるな
ここはお姉さんも一肌脱ぎますか



『勝呂。゙ヨハネ伝福音書゙、全部覚えてるか?』

「あぁ、全部覚えとる」



あの二十一章全部っ!?俺にゃ出来んわ…

だが勝呂一人で、二十一章全部はキツいだろう…



『三輪…あぁ面倒だ!子猫丸、お前は?』

「っ!!……1章から10章まで暗記してます…」



やっぱ子猫丸も暗記してたか

少々戸惑ったものの、子猫丸も肯定した



『おし。勝呂、子猫丸。お前等は、゙ヨハネ伝福音書゙の詠唱に取りかかれ。子猫丸は1章から、勝呂は11章から入れ』

「おうっ!つられるなよ、子猫丸!」

「はいっ!!」



二人は良し、次は…



『志摩、お前は…どうせ覚えてねぇだろ?』

「分かります?俺はこっちで援護します」



そう言うなり志摩は、上衣の内側から金属の棒を何本か取り出し、組み立て始めた

あっという間に、錫杖(キリク)が完成した…仕込んでたんか



「む、無謀よっ!!」



真っ青な顔色で、神木が悲鳴地味た声音で叫ぶ

それに些か落ち着いてきたのか、勝呂が冷静な表情を向けた



「さっきまで気ィ強い事ばっか、言っとったくせに…いざとなったら逃げ腰か」



勝呂の言い分も分かる

が。神木の場合は、ちと状態が違ぇからな…



『…勝呂、そこらにしとけ。神木は何もしねぇで、ただこのままヤられるのか?それでお前は、本当に良いのか?』

「…っ!!」



神木、お前は迷ってるだけだよな?とっとと戻ってきやがれ、お前らしくねぇ



『…兎に角、怪我しねぇように下がってろ』



手を繋げ



(あれ?刹さん、ゴーレム呼ばへんの?)
(呼べねぇんだよ…呼んだら床が落ちる…)
(…確かに…)

11.09.26.

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