「良く来たな、お前ら!」
来たぜ!南十字男子修道院!!
出迎えてくれたのは、獅朗さん…笑顔が眩しいぜ
『こんにちわ、しろうさん』
「…………お邪魔します」
ネイガウスさんを説得するのに、どんだけ時間が掛かった事やら…
双子って俺、初めてなんだよな!すっげー楽しみだ!!
「何だ?えらく不機嫌だな、ネイガウス」
「…また勝手に部屋に不法侵入されては、不機嫌にもなります」
背後で大人二人が、俺に気を使ってか、小声で話している
……ワリ、二人共。俺、聴力良いから筒抜けだわ
「…いやぁ、悪ぃ」
「…反省の色が皆無の所も、相変わらずですね…」
どうやら獅朗さんのネイガウス宅への不法侵入は、今に始まった事じゃないらしい
…オッサン、いずれ捕まっても知らねぇぞ?
そして――俺は修道院の部屋の、一つに案内された
そこには、ちみっさい男の子が二人
だが二人は俺とネイガウスさんを見て、直ぐ獅朗さんの後ろに隠れてしまった
『こんにちわ。おなまえ、いえるかな?』
声音を優しめに、穏やかにして語りかけてみる
すると二人は恐る恐る、獅朗さんの後ろから顔を出した
「…りん…」
「…ゆきぉ…」
うわぁ!可愛い!!
少しつり目気味なのが、燐君で…ちょっとタレ目気味で、小柄なのが雪男君か
『よくできました。おねえちゃんは、刹っていうの』
「「せつ、ねぇ?」」
…ぐはぁぁっ!!
『なに?このカワイイいきものたち…かわいすぎ…』
弟達がいたら、こんな感じなんかな…
■■■
『しろうさん!』
「おう!どした?」
獅朗さんとネイガウスさんの姿は、修道院のリビングにあった
…気をつかってくれたのか
『りんとゆきが、おなかすいたって。ふたりともこけいぶつ、だいじょうぶ?』
俺の後ろには小さくお腹を鳴らす、奥村兄弟の姿が
あれから暫く二人と遊んでいたら、腹が空いたとごねてきたのだ
個人差もあるが二才位なら、離乳食は卒業してる筈だと思うが…
「ん、おお…もう離乳食は卒業したが?」
『りん、ゆき。おやつ、なにがいい?』
「「…あまぃの!!」」
離乳食卒業してんのか、良かった
正直離乳食の作り方、イマイチ分からんから助かったぁ
奥村兄弟に希望があるか聞いてみりゃ…まぁ二才だからな
『…なんちゅう、ちゅうしょうてきな…しろうさん。おだいどころ、おかりしますね』
「あ、あぁ…」
戸惑う大人組を余所に、俺はさっさと台所へ向かった
出来ればフルーツがあれば良いんだが…
「「いちょ〜!!」」
そう言うなり、奥村兄弟は俺に抱きついてきた
身長差があんまねぇから、二人一度に来られるとキツ!!
『てつだってくれるの?ありがと、ふたりとも。じゃ、いっしょにつくろう』
「「お〜!!」」
あ、ラッキー。フルーツが幾つかある
燐と雪にはフルーツの盛り合わせにして、大人組には甘さ控えめのコンポートにすっか
「……姉弟に見えるのは、俺の気のせいですか?」
「…んにゃ、俺にもそう見えるぜ…」
奥村兄弟と仲良く料理をしている光景を、大人組が引き攣った笑みで見てたなど…俺は知る由もなかった
なかよし こよし
(…もちかえりは…)
(駄目に決まっているだろう)
>奥村ツインズとの出会い
お姉さんは弟達が心配です
11.09.17
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