「すっげぇ疑問なんだが、何でネイガウスは懐かれとるんだ?」
『…あー…』
冬の足音が次第に近付いてくる、ある日の男子修道院
ポツリと獅郎さんが、呟いた所から始まった
「ネイガウスはほれ、見掛けアレだろ?子供は普通怖がるんじゃね?」
『……確かに』
獅郎さんと俺の視線の先――
そこには燐と雪男に、絵本を読むネイガウスさんの姿
……他の連中にとっちゃ、この光景はシュールに見えるだろうな
「不思議だよなぁ…」
首を傾げる獅郎さんに、俺は苦笑で返す
言える訳、ねぇよなぁ……
■■■
――…時は数日前に遡る
『……お前等、ネイガウスさんに懐いとんな。そんなに大好きか?』
ふと思った事を、奥村兄弟に溢す
「んー、えっとね…」
すると二人は何故か、頬を赤らめる
………どうしたってんだ?
「せつねぇ、ないしょにしてくれる?」
『あ、あぁ…まぁ良いが…』
すると二人はその口から、驚くべき言葉を発した
「あのね…いーにぃ、【おとうさん】みたいなんだ」
『……………………は?』
おとう、さん?
「うん。とうさんみたい」
『あぁ…そう言う事か』
二人はネイガウスさんに、獅郎さんを重ねていたのか
年齢は違えど、彼等は師弟
雰囲気が似てるのは、何ら不思議ではない
「それにいーにぃ、とうさんよりかっこいーし」
「おとうさんより、いろいろおしえてくれるし」
「「なー/ねー」」
………えーと……
これは…獅郎さんの父親としてのダメ出し、じゃね?
「「ないしょだよ?」」
『………絶対内緒にする』
言ったら獅郎さん、凹む所じゃねぇからな
『子供はよぉ見てるわ……』
そのせなかは
「ゆきお。ないしょだからな?」
「わかってるよ、にいさん」
「「せつねぇ/さんをおかあさんって、よんでるの」」
(その思い、敬愛)
>ネイガウスさんは子煩悩になりそう
11.10.20.
mae tugi