「久しぶりやな、壮一郎」
「『……………」』
いつもの出迎え時
突然予想外の来客が現れ、つい四代目と共に絶句
「あ、じぃじだ!」
うん。かなで、少し黙ってよう
大阪に帰ったんじゃ?
「何でいやがるっ!」
「んな目くじら立てるんやない、阿呆。可愛え孫娘に会いにきたんや、お前に用なんぞあらへん」
『…孫娘て』
玄一郎さん…孫馬鹿度、前より酷くなってません?
表情、緩みまくってまぁ…
「じぃじ!」
「かなでちゃ〜ん?じぃじと買い物行かへん?玩具買うてやるで」
「オモチャ!?」
かなでの目が輝く
玩具は財布の都合で、殆ど買ってあげられてないからなぁ…
悪いとは思ってるが、程度を考えてないな…このお方は
『玄一郎さん、甘やかさないで下さい』
「…オカンは厳しいのぉ」
オカンて…
駄目だ、埒が明かない。こうなったら玄一郎さんと、かなでを離すしかない
『四代目、かなでと外出掛けて。躾に悪い』
「そうする」
どうやら四代目も同様の事を考えていたらしく、既に外出準備万端
……さっすがぁ
「酷いわ」
***
「さて。本題に入ろか」
二人が外出した後
玄一郎さんは狙った様に、口を開く
『ご無沙汰しとります』
ゆっくりと、頭を下げる
玄一郎はんとは初対面やない、せやから前回会うた時はホンマ驚いたわ
「東京にいたんやな」
『ご連絡、出来んで申し訳ありまへん』
彼は鋭い
昔からやったが、それは今になってよう分かる
「ええよ、頭上げ。"あの状況"なら仕方あらへん、あんさんの判断は間違っておらん」
『そう言われはるなら、気ぃ楽になりますわ』
降ってきた言葉に、肩がふっと緩うなる。どこか気ぃ張っとったんやろか
顔を上げると、視界に入ったんはニヤけた玄一郎はんの表情…
「しっかし、えらいベッピンさんになったもんやなぁ。どや?ホンマに荘一郎の嫁にならへんか?」
エロオヤジ
恐らく彼なりの冗談やろう
『玄一郎はん。全てが片付いた訳やありまへん。かなで、守るんやったら徹底的に戦う覚悟あるさかい』
正直、良い話やと思う
せやけど、私に課せられた"コト"が片付いとらへん
「………そうやな。今のは年寄りの戯れ言や、気にせんといてな」
玄一郎はんが気に病む事やないです
私を気遣ってくれはるんやろ?
ホンマ、玄一郎はんがお父んやったら…どんなよかったか
『お気遣い、感謝します』
女豹と大狼の秘め事
(ホンマ、立派になったわ)
(流石親子や、立ち振舞いが"お前"に似とるで)
***
玄一郎氏と夢主
12.07.26.
mae tugi