それは突然だった



「久しぶりやな、壮」



大阪に戻った筈の錬次さんがひよっこりと、はなまるに姿を現した。相も変わらず派手な所はご健在の様

でも一体どうして?



「…れん、じ?」

「何や、反応うっすいなぁ」



いやいや
反応薄いって…突然過ぎて、皆固まってるんですよ



「本当に錬次さん?大阪に戻った筈じゃ…」

「戻ったで、今日は別件や。お前らに使い、頼まれてな」

「…別件?」



僕達に使い?あの錬次さんが?

首を傾げてる僕達に、錬次さんは爆弾発言を投下した



「えー…壮とお前ら、あとあの探偵の嬢ちゃんを京都へご招待!や」

「京都だと?」

「そや。お前が預かってる子も一緒に、な」



空気が変わる
錬次さんはかなでちゃんの事を知らない筈、どうして?



「錬次、テメェ…」

「にぃに?」



そんな時だ
タイミング悪く、かなでちゃんが顔を覗かせたのは

悲鳴にならない声を心中で叫びながら、どう錬次さんに言うか迷っていると…



「おぉ!かなでちゃんやな?えらい大きゅうなって!」



何故か錬次さんはかなでちゃんを見るなり、瞳を輝かせてた

彼の口振りからは、知り合いの節があるけれど…対するかなでちゃんは目を瞬きさせるだけ



「にぃに、だれ?」

「分からんのも無理ないわなー…かなでちゃんに会うたの、赤ちゃんの頃やったし」

「なんだと?」

「まぁ詳しい話は、京都へ行きゃ分かるさかい」



京都
西にある古都に、何があるというのだろう?



「かなでちゃーん?お出掛け、したかないかい?」

「おでかけ?」

「せや。ママに会えるで」

「ママ!」



今、何て?
錬次さんは…唯さんをも知ってる?



「錬次…!」

「んな怖ーい表情で睨むんやない。言うたろ、使いって」



いや、そんな…
だって錬次さんとの関係なんか、これっぽっちも聞いてない

けれど彼は、こんな冗談を言うヒトではないのも確かで



「………それって、まさか」

「その、まさかや」



一瞬で錬次さんの瞳が、狼の様に厳しく光る

それの輝きは、四代目にも劣らない強い光



「唯の使いや。お前達を古都・京都へ招待するための、な」



黒狼からの招待状


(でも錬次さん。アリス、外には…)
(安心せい。唯から秘策、貰ってるさかい)
(相も変わらず用意周到だな)
(それが唯やし)


13.04.16.

mae tugi


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