「…………」
「よ、ん…代目…?その子は…」
「聞くな言うな」
僕の義兄・雛村壮一郎がはなまるに姿を現したのは、夕方の混雑が一段落した頃
…小さな子供を抱えて
「どうしたの、その可愛い子?」
「四代目の隠し子か?」
「違ぇ!」
狼と例えられる義兄と幼子は見事にミスマッチで。でも驚く事に、幼子は四代目に怖がる雰囲気はなかった
「にぃに。ぐるぐる」
「あ゙ー…腹減ったんだな」
「ぐるぐるー」
「へいへい…」
四代目はカウンターで、ミンさんに炒飯を頼む。出来立ての炒飯を蓮華で掬い、冷ましながら四代目は幼子に少しずつ与えてく。まるで親鳥と雛だ、以外だあの四代目が
「にぃに。ママは〜?」
「………ママはお仕事だ」
「ぶぅ…」
「…食べ終わったら、あの兄ちゃん達が遊んでくれるとよ」
「「「え゙っ!?」」」
「わぁーい!」
炒飯を食べ終えると幼子は、三人に突進していった…うわぁ、痛そう
「ったく唯のヤツ…」
「やっぱ唯の子供か」
四代目とミンさんの口から、見知らぬ女性の名前が出てきた。もしかしてあの子の母親?
「唯は確か、テツと同い年位だったな。ひょっこり現れて、いつの間にか常連なってた変わったヤツだよ」
「ガキこさえててな…しかも俺に押し付けやがる…」
「…凄い…」
何が凄いってあの平坂組に、子供を預けるのが凄い。成る程、だからあの子は四代目を怖がってないのか
『こんばんは』
鈴の様な、キレイな声が響く
声が聞こえた方に振り向くと、スーツに身を包んだ女性の姿があった。もしかして…
「ママっ!」
『ただいま、良い子にしてた?』
幼子が女性に抱きつく、やはり彼女が母親だったんだ。にしても若い、テツさんと同世代だからまだ二十代だよな?
「唯…頼む、頼むからもう止めてくれ…」
『しょうがないでしょ、幼稚園埋まってんだから』
頭を抱える四代目に、女性は笑むだけ。凄い…あの四代目が押されてるよ。あれ、僕疲れてるのかな?三人が親子に見える…
「にぃに!」
「はぁぁ…」
子守り狼
『どのみち。幼稚園空いても、無理なんだけど』
「へ?どうしてですか?」
『あの子四代目に懐いてるから』
「(御愁傷様です、四代目)」
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実は四代目は子供に懐かれ易いんじゃないか?
という発想から出来た作品
11.09.06.
11.09.16. 移転
mae tugi