かなでの誕生日が近い
今年はどうするか……うむ、白い狼も巻き込むか
かなでも喜ぶし、何より…
『てな訳で、ご協力お願いします』
「……………チッ!」
休日を利用して、平坂組の事務所へ訪れた。因みに…かなではミンさんに預けてある、理由を話したら彼女は快く引き受けてくれた。恐らく子守りは鳴海君が担当するだろうが…
『じゃ四代目お借りします』
「へい!お二人共、お気をつけてっ!!」
渋々上着を羽織る四代目と共に、私は事務所を後にする。しかし今更だが、平坂組の人達だけで大丈夫だろうか?
「唯さん、姐さんになってくれねぇかなぁ?」
「馬鹿言ってんじゃねぇ!あの人は堅気のお人だぞ、オチビちゃんだっているんだ!!」
「けどよぉ…壮さんと並ぶと似合いなんだよな…」
「「「「「…確かに…」」」」」
そんな会話がされていたとは…私達は知るよしもない
■■■
「んで、どうすんだ?」
『ケーキは私が焼いて、はなまるが会場』
「は?何ではなまる?」
街中を歩きながら、経緯を相談する
四代目は目立つから、視線が痛ぇ痛ぇ…
『はなまるの皆も祝いたいって言われてねぇ…どうしても断れなくて』
「ま。世話になってるのは確かだしな」
『そーなの』
「…おい。かなでへのプレゼントは決まってんのか?」
来た、来ちゃったよ…
「………まさか…」
『決まってなかったり』
「はぁ……」
そーなの
肝心なのが決まってない、だから四代目に協力を要請したのさ。本来なら既に決まってて、四代目は参加だけの形を取る筈だったんだけど…これが中々…
「……唯。かなではぬいぐるみ持ってたか?」
『ぬいぐるみ?…持ってないな、家計難だから』
「……………」
ぬいぐるみ高いじゃん
そりゃ私だって買いたいよ、でも手が出せないんだよ。財布内は常に真冬ですから…
「…しゃあねぇ…付き合え」
『どこ?』
「北千住」
なんでまた北千住?
何も語らない四代目に、仕方なく付いていく
『……わかば、手芸店?』
この店とプレゼントに、何が関係してるんだ?
「ヒナ、いらっしゃい……おや?隣の人は?」
「あー…」
現状が飲み込めません
何故手芸店の店長さんと、四代目が知り合い?つか常連っぽくね?
「コイツの娘を預かってる話はしたよな?ソイツの誕生日が近いんだよ、ぬいぐるみ持ってねーっうからよ…」
「あぁ、成る程。と言うかヒナ、彼女固まってるよ?」
「………おい、戻ってこい」
はっ!意識飛んでた…
『どー言う事?』
「ヒナはこう見えて、手芸が得意なんだよ」
『………マジでか?』
ウソぉ、このツラでか
正直、信じられないんですが…
て事は何だ?四代目が…ぬいぐるみを作、る?
『……無難にクマのぬいぐるみで良いんでね?』
「大きさは?」
『ウチんな広くねぇから』
それから三人で詳細を相談した、私は意見を言うだけだったが。しかし本当に意外だわ…いずれ服でも縫いそうだな
兎へのプレゼント
「くまさん!」
「大事にしろよ」
「うんっ!!」
『(最早プロ並じゃねぇか)』
―――――
夢主は四代目の特技を知りませんでした
11.09.25.
11.09.26.移転
mae tugi