12

最近は部活終わりに名前さんと電話するのが当たり前になってきた、
もうそれは本当に毎日、どことなくどちらから電話をかけ、他愛無い話をして俺の就寝時間まで話す。ただそれだけ。


「それだけでええんか」
「?」
「いや、ええんか、もう12月なるんやぞ。もうすぐ春高やし、相手さん卒業やろ?大学とかその後とか聞かんでええんか。」
「それや!」
「こいつポンコツなんちゃうか」


変わらぬ日常が大切ではあるが、たしかにツムの言うことを一理ある。相手が卒業する前に告白せねば。でもどうやって?春高の時に?そんなに仲良くなれているのだろうか?

「悩んでる暇あるならなんかすればいいんじゃん?」
「なんかってなんやねん」

さあね、なんていって突然現れた角名にこいつはアドバイスする気があるんだろうか、ないんだろうな、なんて思いつつケータイ画面に光る名前さんの名前をみた。

聞きたいこと、卒業後大学に行くのか、それとも会社に勤めるのか、専門学校?夢はなんだろう。聞いていなかった彼女への質問が今になって色々と浮かぶ。
考え込んでいればケータイから電話の着信を知らせるバイブ音

「もしもし!」
『あ、もしもーし。寝てた?』
「寝てへん!です。」
『あはは、寝てへんのね。』

いつも前触れもなくかかってきたりかけたり、暗黙でだいたい夜の21時ごろと決まっている。
決まってこの時間は部屋に篭り侑を追い出して1時間程度話をする。
一種の楽しみな時間になっている。


『じゃあ、今日も宮侑くんと喧嘩したんだ?』
「せやけど、今日のは俺は悪くないです。断言します。」
『そうね。ふふふ』
「笑い事ちゃいますよ!」


ただの日常会話ばかりしかしないがそれでも楽しいと思える。好きな人だからだろうか、きっとそうだろう。ツムや角名とこんな話をしてもここまで楽しいと言う感情は出てこない。

『いいなぁ。たのしそう』
「名前さんとこも楽しそうやないですか?」
『木兎?あれはね、ああ言う生き物だから。』
「木兎さんもおもろいですけど周りの方々とか…」
『まぁ面白いかなぁ。卒業嫌だなぁとは思うくらいには』

卒業とういう4文字が頭に刺さる。そうや聞かな。どこ行くんやろ。何するんやろ。
こっちにきてくれるんやろか。いやでもきっと東京なんやろな。試験終わったんかな。

『どしたの?だまりこんで?』
「あ!いや、その大学とか大変やろなぁ…って、」
『どうだろなぁ私は調理の専門だからまぁ大変だと思うけど』

調理の専門…思わぬタイミングでの情報、自身が進みたいと思う道。しかし未だ悩む将来。

『なぁに?進学でお悩み?』
「え!あ、いやまぁ、そうなんですけど」
『なんでわかったの?って』
「はい」
『そりゃあね、』

これでも治くんのお話毎日聞いてますから。

「……!」

『自分の進みたい道に素直にあればいい。やりたいことに素直にあればいい。まだ君には時間はたくさんあるんだから。』


優しくなだめてくれるような、ほっと一息つかせてくれるようなそんな話し方。この人の優しさがとても暖かく感じる。とても愛おしいと思う。

「おれ、悩んどって」
『うん』

初めて相談した。ずっと頷いて聞いてくれる名前さんに甘えてなんでも伝えてしまった。
自分が飯に関する仕事がしたいこと、でとバレーも続けたい。という気持ち。
悩んでしまって進路が決まらないこと。
だらだらと話しを進めててしまっただろうにずっと頷いて聞いてくれる。


「おい、サムもう10時や。」
「あぁ、もうなんか、」
『あ、10時か。また何かあったら言ってね。話聞くからね』
「あ、ありがとうございます。ほなまた、おやすみなさい。」
『はい、おやすみなさい。』

「デレデレした顔しおって」
「ええやろ、進学の話したんや。」
「学校きいたんか」


「………あ」


こいつアホや。といわれたが、今日は名前さんと進学の相談をできたから今日はよしとして欲しい。



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