『ずっと好きやって証明する!やから俺の付き合うてや!』

「ずっとって」

どうやって証明するんや。それでもその一言が自身の心にささったのは間違いなかった。
高校一年生夏、むせ狂う様な暑さの中宮侑からそんな告白を受けた。
噂はあっという間に学内に広まり学内では有名な彼氏と彼女だった。
それから何やかんやで明日で1年になる。しかし最近の侑は事あるごとに言い訳をつけてわたしから離れようとする。


「なんや、喧嘩でもしたんか」
「さぁ、知らん。」
「え、ちゃうん?」

知らんよ、ほんまに。
なんかしちゃったんかな。とか聞いてもなんもしとらん!とかなんもあらへんよ。とかそんなんばっかりででもクラスが違うのも相まって会う数がぐんっと下がった。

「聞いた噂やと、私侑と別れとるらしいで。初めて知ったわ」
「そんな噂まで流れとるんか」
「せやで。自然消滅いうやつかもしれんわ」


「なまえにそんなん言うたやつだれや!別れとらん!俺はずっとなまえのこと好きや言うた!」


わたしの言葉の後に力強い音を立てて扉を開けてこれまた大声であの時のセリフを吐いたのは吐いた本人。
友達はわぁ、熱烈な告白…なんてつぶやいて目が点になっている。
そもそもこの男はどこから聞いていたのだろうか。

「ちゃうの?」
「ちゃうに決まっとるやろ!去年いうたやろ。ずっと好きって証明するって。」

ぶつくさ言うこの男はいつもの自身ありげな顔に不貞腐れた顔を足して耳を赤くする。
そういえば去年もこんな顔をして私に好きなんて伝えてきたっけ。

「あー、じゃあ私帰るわ。じゃあね。」
「うん、またー」

少しだけ気まづい空気を察してか友達はそそくさとカバンを持って帰っていった。
教室に残るのは私と侑だけ。夏にだけ鳴く蝉たちがジリジリと音を立て、教室の中はエアコンを切られたからか夏の暑さが充満して暑い。

「俺はなまえと別れた記憶なんてあらへんぞ」
「私もないで?でも侑が私避けとったんはほんまやろ」
「えーと」

誤魔化すのが苦手か。そんな心の中のツッコミも今はきっと怒られてしまう様な気がした。
モジモジとしている侑に痺れを切らし、声をかけようと心に決め、口を開こうとした時先に声が出たのは侑だった。

「しゃあないやんか!明日1年やねんぞ。なんか祝いたかってん!せやけど俺部活ばっかやし、バイトもしてへんから金もあらへん。やからプレゼントも指輪とかあげたかったんやけどあげられへんくて」

考えてたから一緒におったらボロが…なんて尻すぼみな声にいつものあの堂々たる宮侑はどこに行ったのだと少し面白くなる。
未だブツブツとつづく聞きづらくなったその言葉たちを聴きながらついにはわらってしまった。


「なんでわらっとんねん!」
「いや、いつになく、言い訳がすごいから。」
「し、しゃあないやろ、結局なんも準備出来んままやぞ。でもな、明日は部活オフやから、デートしよ思ってあとはなんかお願いでも聞いたろとか…」
「じゃあ明日、駅前に11時ね、遅刻とか厳禁やからね。」
「わかっとる!」


さて、ではわたしも明日の準備をしなくては。わたしが準備したプレゼントを見たら侑はなんと言うだろう。
仲直りではないが1週間ぶりくらいに歩く侑の隣はとても居心地が良くて、周りの女の子たちは別れたとかやっぱ嘘やん。なんて話している。

「ねぇ、侑。」
「なんや」
「今日電話したい」
「?ええけど…」
「お願い事は日付跨ぐまでわたしの電話に付き合うこと!」
「…お安い御用や。」


ニッと笑う侑はいつのまにかいつもの侑で、その日の夜の電話で侑はずっとすきやって証明したる。と去年と同じ言葉をわたしに告げてくれるのだ。

電話してもいいですか




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