高校一年生の3学期。
わたしには毎朝おはようと声をかけたて帰り際、毎日じゃあまた明日と声をかけたい人がいる。
首からヘッドホンをかけて口数も多くなく、おはよと口早にいわれ、じゃあね、と返される。

「ツッキー!部活いこう!」
「山口うるさい」

楽しそうに話す山口くんにさえ羨ましさを感じてしまう。
思わず口に出していたからなのか友達から声に出てるよ。なんて突っ込まれる。


「そんなモロバレの恋心流石にもう相手も気づいてるでしょ。」
「でもでも!」
「でもじゃない。もうクラス替えになるんだよ。言わないと来年クラス離れて一生声かけられなくなるよ」


そんなことは…ともごるものの私の意気地なしさを考えるとありえない話ではなかった。
実際、今日はお昼休みにお話ししよう!と意気込んだとて毎朝おはようと声をかけても帰り際じゃあねと声をかけてもそこで終わっているのだ。
今日だって、じゃあまた明日と言って春高かっこよかったよ。お疲れ様。と伝えたかったのだ。

「メールにすればいいじゃん?」
「メアド知らない…」
「じゃあ手紙」
「それだぁ!?レターセット買いに行く!」
「うっさ…てかまってまじ?」

行こう!なんて友人に声をかけて慌てて2人で教室を出て階段を駆け降りる。
ずいぶん長いこと話し込んでいたらしい。時刻はもうすでに18時を回っており、廊下の窓から見る外は暗い。
幸いなことに今日は金曜日この時間から出かけるのなら大人しく明日出掛けて買いにいって心の準備もできる。

「明日、レターセット買いに行こう。」
「へー、手紙書くんだ」
「っえ」
「誰宛?」

流石に隣の友達宛ってわけじゃないデショ?と部活途中の休憩なのか白いTシャツと黒い短パンを履いてにゅっと登場したのは片想いしてる月島くんである。

「で、誰宛?」
「いやえーっと、」
「…わたし帰るわ。じゃ、また明日ね、」
「え、え、」
「うん、また」

じゃあねぇ。なんて手を振りながら帰る友人の背中をみつめて、月島くんと見送る。
誤魔化せるだろうか。このままじゃあわたしも帰るね。と言って帰れば…なんてかんがえていても月島くんはわたしの方を向いて立っている。
まるでその場で答案をよこせと言っている様だ。

「僕さ、そんなに気は長くない方だと思ってるんだけど?」
「(存じ上げております。)」
「で?誰宛なワケ?」
「す、好きな人に手紙を…」
「へェ、じゃ月曜日僕は手紙をもらうわけだ」
「!?」


察しの良い人だとは思ってた。そんなに露骨だっただろうか?と一人で慌てていればアハハと笑う月島くんの声。

「確証はなかったけどあってたみたいだね。」
「え!」
「まぁ、いいや。みょうじさんもう帰るデショ?」
「うん。18時も回ったし、帰るけど…」
「19時まで待てる?」
「待てるけどなんで?」

ニヤッとわらって月島くんはナイショ。なんてかっこよくいうものだからその場で硬直した。
そのまま体育館に連れられてバレー部の練習を上から見て月島くんと一緒に帰えった。


「なんでわたしは待たされた…?」
「逆でしょ。」
「どこが……?」
「僕がずっと待ってるんだケド?」

何を?なんて素直に聞けば呆れ顔。あぁ、知ってるこの顔よく影山くんにするやつだ。まさか自分がその顔をされる日が来るなんて…と思いつつ月島くんの顔を再度見上げれば少しだけ、気のせいかもしれないけど耳が赤い。

「来週の月曜日、手紙持ってきなよ。読んであげるから」
「月島くんが読んでくれるっていうなら手紙書けそうな気がしてきたよ。」



恋が下手くそなわたしから愛の言葉を紡いだ手紙を少し不器用なあなたへ。

手紙もらってもいいですか




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