クチュリ
ピチャ
聞き慣れない音が支配する世界。
自分を攫う容赦ない官能に囚われながら、自然とシンクの淵を掴む手には力が入る。
一方、肉厚の中に顔を埋めているメローネはそんな名前の様子にほくそ笑むばかり。
「はぁ、っは……も、やめて、ぇ……あんッ」
「はは! 名前の≪やめて≫ってやめてほしくない合図でしょ? オレはよーく知ってる……床もびしょ濡れだね。後でちゃんと拭かなきゃ」
「! ぁっ、ぁっ、やあ……ッはぁ、やらっ、やらぁ!」
「膝がガクガク揺れて……あ、もしかしてイく? 名前、イっちゃう?」
イイよ、イっちゃって。
そう呟き、彼が陰核に柔く歯を立てた刹那――
「ひぁ、っああああ!?」
ビクン
訪れた快楽と漏れ出す吐息に、左足が解放された身体の力を抜いてしまいそうになる。
「ッ……はぁ、はッ、はぁっ」
だが、一片の理性が彼女を奮い立たせた。
眉は苦しげに、そして悩ましげにひそめられ、生まれたての小鹿のように不安定な両脚。
そんな姿を視界に入れながら、にやりと笑った彼はおもむろに立ち上がり、己のズボンを下着と共に脱ぎ去った。
「!」
「名前があまりにもエロくて可愛いからさあ……さっきよりパンパンになっちゃった!(ハート)」
「……っ」
天井を向く、赤黒いモノ。
いつも自分を掻き乱している――そう自覚した途端、きゅんと疼いてしまう名前の子宮。
≪欲しい≫――取り巻く欲情。
それを知ってか知らずか、ますます笑みを深めた男は彼女にくるりとこちらへ背を向けさせ、淵を握らせる。
次に、その滑らかな内腿の間へ熱く滾る性器を差し込みゆっくり前後してみれば、これでもかと言うほど反応を示すふくよかな双丘。
もちろん、可愛い奥さんの仕草に≪変態≫旦那が興奮しないはずもなく。
「ハァ……ハァ……挿入れるよ?」
「ッ」
囁き声と荒い息。
コクン
快感を求めるそれらに――静かに、だが確かに名前が首を縦へ振る、と。
「く……ッ」
「ぁっ……はっ、あああ!」
ギチギチという音が足元で鈍く響き渡った刹那、亀頭が膣口を押し拡げ、ナカを徐々に侵していく。
そのキツさに、今まで余裕そうだったメローネも、さすがに眉根を寄せるといった苦悶の表情を浮かべた。
「ほんっと……夫婦になる前もなってからもさ……何度もヤってんのに、名前のナカ締まり良すぎ……オレのすげえ欲しがってる」
「ぁっ、だ、って……めろ、ねのっ……ほし、のぉ」
「ッ……あんたって、ほんと可愛い!」
「ああっ、はぁッ、ぁ、ぁっ……いき、なりっ、激しくしちゃ、やぁ……!」
髪を振り乱して、嬌声を上げる蕩けきった顔の名前。
すると、何を思ったのか彼はおもむろにふるんと揺蕩う彼女の乳房をエプロン越しに揉みしだき始めた。
「やあッ!? あんっ……やだっ、ぁ、っ揉み揉み、しない、でぇっ」
「……あー、エロい。嫌がりながらも腰をやらしくくねらせてくる名前、超エロい。布が擦れて気持ちイイんだろ? ベネ……ッ」
膣壁がうねる。
その肉感に吸い寄せられるように、ドクリと脈打つ肉棒。
「うわ、オレももうヤバいや……」
「あん、っあ、はぁ……んっ、めろーねッ、めろー、ねぇっ!」
「名前……ッ名前……!」
ラストスパートをかけるかのように律動はより早く、より力強くなっていく。
上腿を伝い落ちる、二人のモノが交り合っているであろう液体。
肉襞を荒らし回される感覚。
子宮口を擦る先端。
「くッ」
――も、ダメ……。
短くも艶やかな音が耳元で聞こえた次の瞬間、白い喉を晒した名前は足のつま先から旋毛をビクビクさせながら、勢いよく押し寄せた焦熱のこもる体液と大きな快感を甘受した。
「ぁ、っぁ、や、ぁあああ……!」
「ねえ」
二つの吐息がようやく落ち着いてきた頃、小刻みに震える大切な妻を後ろからしっかりと抱きしめたメローネは一言、口にした。
「……何?」
「このまま……ハァハァ、第2ラウンド、行っちゃいましょう……ハアハア」
放たれた妙な敬語。
彼の腕からするりと抜け出し、床に落ちた自分の服を拾い上げていた彼女は、その内容にすぐさま首を横へ振り、拒否を示す。
「いや。というより無理。ご飯作んなきゃいけないし(それと、ここで気を許したら朝まで解放されなさそうだし)」
「えー!? いいじゃんいいじゃん! ご飯より名前を食べたい〜! あ、オレが食べられるのか」
「……」
じとりとした瞳と宝石のように輝く瞳がかち合う。
込められた期待。
もちろん、それに応じる気はないので――名前は右手で作った拳を頬へ定めた。
「私がお腹すいてんの!」
バキィッ
「ベネ……!」
腹ペコPadrone
一番の好物は、もちろん彼の≪Signora≫!
〜おまけ〜
「ねえねえ、名前」
「……何よ」
いつもよりかなり遅くなってしまった夕食。
テーブルを二人で挟みながら食べ進めていると、ふとメローネがフォークを手に身を乗り出してきた。
どうせ大したことではない。
己の欲についてかうんちくか、どちらだろうと予想していると――
「ジャッポーネには、女性の身体に食べ物を乗っける≪女体盛り≫ってのがあるらしいよ」
やっぱり。
「ふーん」
明らかに興味がない。
しかし、名前の反応を見とめつつも、彼は満面の笑みでペラペラと喋り続けた。
「なんかさあ、えーっと……エロ時代……じゃなかった、≪江戸時代≫の頃からあったって証明されているらしいんだけど、すげえよな。かなり大人しそうな国なのに、やることはベリッシモ大胆というか」
「……で?」
「ん?」
「メローネ。あんた、結局何が言いたいの?」
最後の一口を咀嚼し終え、じっと目の前の男を見据える。
すると――
「オレ、まだ腹ペコなんだ」
「はあ」
「というわけで、名前。今すぐ横になってほし――ガッ」
結局それか。
そういう意味も込めて、ナイフ(柄の方)をヒュッと投げ、白い額へ命中させた。
「はいはい、メローネはもう眠いんだねー。おやすみー。いい夢をー…………一週間、寝室出入り禁止」
ゆっくりと席を立ち上がり、無表情のままメローネの横を通り過ぎる。
だが――どうもこうした沈黙には慣れない。
机にうつぶせの状態で動かなくなった彼の煌めくブロンドをちらりと見て、渋々向かったのはソファ。
「はあ。まったく……世話のかかる旦那さんだこと。……おやすみ、メローネ」
深いため息をついた名前は、取りに行っていたブランケットを意外にガタイの良い肩へかけながらぽつりと呟くのだった。
「(ああ、もう……ディモールト、ディモールト可愛いなあ、オレの奥さんは!)」
だから、照れ臭さゆえか素早くリビングを出て行ったあと、テーブルに顔を伏せたまま男がハアハアと再び息を切らしてことは、彼女は知る由もない。
![](http://img.mobilerz.net/sozai/1616_w.gif)
大変長らくお待たせいたしました!
メローネで夫婦ギャグ裏でした。
カマツカ様、リクエストありがとうございました!
なんだかメローネが気持ち悪く(?)なってしまったような気もしますが、メローネなので通常運転です、きっと(笑)。
ちなみに、≪Padrone≫は旦那、≪Signora≫は奥様という意味だそうです。
感想&手直しのご希望がございましたら、clapや〒へお願いいたします!
Grazie mille!!
polka
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