※長編「Uno croce nera...」の番外編
※裏ではないものの、少し卑猥
※安定のリーダー落ち
それはある日、ホルマジオとイルーゾォがカードゲームをしていたリビングでのこと。
「なあ〜、みんなでポーカーしようぜ!」
二人をにやにやと眺めていたメローネの言葉に、皆が各々の反応を見せながらそちらを向いた。
「おいおい。突然だなァ〜」
「オレらのゲームをずっと見てるなって思ったら、そういうこと……」
トランプを持ち、相変わらず笑顔のホルマジオに、頬を引きつらせてため息をつくイルーゾォ。
「ポーカーって……ストレートフラッシュ、とかのアレですか?」
「んー、そうそう! ああ、きょとんとしたあどけない表情の名前も、ディモールト・ベネ……グフッ!」
「オイ名前ッ! いちいちこの変態の発言に反応しねー方がいいぞオオオ……調子に乗るからなアア!?」
ソファから顔を出した少女に飛びかかろうとするメローネの顔面を、ギアッチョがそちらを見ることなく肘打ちする。
ゴキッ、と明らかに折れてはならないものが折れてしまったような音が聞こえたが、ベネと叫んでいるので心配ないのだろう。
「メローネ、床の血は拭いておくように。だが、ポーカーか……久しぶりにするのもいいかもしれないな」
「っん、リゾットさん……少し、苦しいです……って、え!?」
「リーダー、やったことあったんすか!?」
倒れた男の元へ向かおうとする名前の腰をすかさず抱き寄せながら、意外と乗り気な返事をするリゾット。
それにかなり驚いたのか、皆のためにとコーヒーを運んでいたペッシは目を丸くした。
しかし、いつもは結っている金に煌めく髪を下ろした、まさにリラックスモードと捉えられそうなプロシュートが、長い脚を組みつつその提案を淡々と一蹴してしまう。
「ハン、却下だ却下! こいつとそこの丸刈りとオレは昔からアジトでよくやってたからな……互いの手の内も腐るほど知ってんだよ。それに、なんか≪賭けるモン≫がなきゃ面白くもなんともねえだろ」
そこんところ、ガキのテメーはわかってんのか?
挑発するように不敵な笑みを浮かべた男に対し、仰向けになった状態のメローネはこれでもかと言うほどにんまりと口端を吊り上げた。
「アハッ、オレが何も考えないで言ってると思う? オレの脳内は常にロマンとピンクと、どうやって名前の心の奥の奥――理性の扉を解放し淫乱ガールにせしめるか、の三つでいっぱいだからな!」
「!? あ、えと……っ」
「チッ、だからいちいち反応すんじゃねエッ!! あと、テメーはそんなことしか考えられねーのか!?」
まさか自分が出てくるとは思わなかったらしい。
顔を真っ赤にする少女を一瞥して、ギアッチョがテーブルにあったカードを下へと撒き散らす。
もちろん、珍しくホルマジオに勝てそうだったイルーゾォから非難の声が上がったのは言うまでもない。
「ふっふっふ……そうやってオレにキレられるのも今のうちだぜ、ギアッチョォ……。なんて言ったって今日の勝者には――」
「≪名前とのキッス≫が待ってるんだからなッ!!!」
「は?」
「……え?」
「!?」
「「「「「「な……ッ何ィィィィイイ!?」」」」」」
彼らの歓喜のこもった雄叫びは、アジトの外にまで轟いたようだった。
その後、一番冷静だった名前が眉尻を下げて、おずおずと口を開く。
「あ、あの、メローネさん? どうして、私が――」
「おっと、君も興味深そうにしてたんだし、今更やめるのはなしだぜ、名前! まあ、安心してよ……≪それ以上のこと≫にはならないからさ。とは言っても、キスする≪回数≫や≪場所≫は勝者の自由だけどね!」
(((((ガタッ)))))
動揺を隠せない彼女の周りで、ますます目が血走る男たち。
それは、
――オレ以外の男が名前とキスなど、言語道断だッ! だが……名前とキス、名前と数えきれないほどキス、名前と濃厚なキス……!
いつも唇を重ねているはずの男も、
――どこでもイイ、か。つまり、普段は隠している胸や下にもry(強制終了)。
先程はゲーム自体を拒否していた男も同じだった。
ちなみに、これを提案した張本人はというと――
「(ああ……名前にオレの反り立った息子を晒して、その先にキスさせたい……きっと伏せ目がちで恥ずかしそうにしながら、真っ赤な果実みたいに色づいた小さな唇を近付けて……)ハァ、ハァ……ベネ……ッ」
ひどい妄想に耽っていた。
こうして、≪カードを取り換えるのは一回限り≫、≪ワンゲームにつき一番弱い役だった人が降りていく≫という簡単なルールで、テーブルを囲んだ男たちの熱き戦いが始まろうとした、が。
「テメーらじゃ、ポーカーの雰囲気すら決まりやしねえ。ここはオレが――」
「「「「「ちょっと待ったァァアア!」」」」」
トランプを配るディーラーを誰がやるか、で問題は発生する。
飄々とカードを手に取ったプロシュートに、皆が口々に異議を唱えた。
それはもちろん、誰がやろうとしても同じことで。
結果、白羽の矢が立ったのが――
「わ、私ですか?」
言わばこのゲームの賞品であり、全員に対して公平である名前だった。
一人五枚ずつ配ればいい。
そうわかっていても、当然だが戸惑ってしまう。
とりあえず、ホルマジオに応援されながら52枚のトランプカードを受け取り丁寧に繰っていると、突然メローネがカッと目を見開いた。
「ね、ねえ! 今の名前、バニーガールがベリッシモ似合いそうじゃない!?」
「! わ……っ」
「ちょ、メローネ! 名前をこれ以上動揺させないであげてよ……そりゃ似合うだろうけど」
バラバラバラ
少女の手からこぼれ落ちた数枚のカードを受け止めつつ、イルーゾォが眉をひそめて諌める。
しかし、当の本人はおかまいなしだ。
「わかってないなあ、イルーゾォは……アイデアは思い出以上に強く浮かんではあっさりと消えるんだ。つまり、いつ言うの。今でしょ!? 可愛い真っ黒のうさ耳、肩や首筋をより強調する蝶ネクタイ、身体のラインがはっきりと出るレオタード……ッああ、腰を振ることがあれば、白く丸い尻尾がふりふり動いて超エロ――グエッ」
「テメーの妄想は聞いてねえんだよ、クソがッ! オイ、実際にその≪バニーガール≫とやらの服がここにあるわけじゃあねえんだ。コイツがくたばってるうちに配っちまえ!」
「は、はい!」
急かされるのは困るが、助かった。
ホッと息をついた彼女がイルーゾォに礼を言って、もう一度挑戦しようと手を動かし始める。
すると――
「……その衣装、≪ある≫と言ったら?」
「え……ッ!?」
バラバラバラバラ
今度はペッシの悲鳴と共に落ちていくカード。
それを気にする余裕すらないのか、こちらをただただ凝視する名前に、発言者であるリゾットは微かに笑い――
「冗談だ」
「じょ、冗談ですか……(よかった)」
「……ただ、購入する予定もなくはな――グッ!?」
「「大概にしろッ!!」」
次の瞬間、年長組二人に拳骨という名の制裁を受けた。
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※裏ではないものの、少し卑猥
※安定のリーダー落ち
それはある日、ホルマジオとイルーゾォがカードゲームをしていたリビングでのこと。
「なあ〜、みんなでポーカーしようぜ!」
二人をにやにやと眺めていたメローネの言葉に、皆が各々の反応を見せながらそちらを向いた。
「おいおい。突然だなァ〜」
「オレらのゲームをずっと見てるなって思ったら、そういうこと……」
トランプを持ち、相変わらず笑顔のホルマジオに、頬を引きつらせてため息をつくイルーゾォ。
「ポーカーって……ストレートフラッシュ、とかのアレですか?」
「んー、そうそう! ああ、きょとんとしたあどけない表情の名前も、ディモールト・ベネ……グフッ!」
「オイ名前ッ! いちいちこの変態の発言に反応しねー方がいいぞオオオ……調子に乗るからなアア!?」
ソファから顔を出した少女に飛びかかろうとするメローネの顔面を、ギアッチョがそちらを見ることなく肘打ちする。
ゴキッ、と明らかに折れてはならないものが折れてしまったような音が聞こえたが、ベネと叫んでいるので心配ないのだろう。
「メローネ、床の血は拭いておくように。だが、ポーカーか……久しぶりにするのもいいかもしれないな」
「っん、リゾットさん……少し、苦しいです……って、え!?」
「リーダー、やったことあったんすか!?」
倒れた男の元へ向かおうとする名前の腰をすかさず抱き寄せながら、意外と乗り気な返事をするリゾット。
それにかなり驚いたのか、皆のためにとコーヒーを運んでいたペッシは目を丸くした。
しかし、いつもは結っている金に煌めく髪を下ろした、まさにリラックスモードと捉えられそうなプロシュートが、長い脚を組みつつその提案を淡々と一蹴してしまう。
「ハン、却下だ却下! こいつとそこの丸刈りとオレは昔からアジトでよくやってたからな……互いの手の内も腐るほど知ってんだよ。それに、なんか≪賭けるモン≫がなきゃ面白くもなんともねえだろ」
そこんところ、ガキのテメーはわかってんのか?
挑発するように不敵な笑みを浮かべた男に対し、仰向けになった状態のメローネはこれでもかと言うほどにんまりと口端を吊り上げた。
「アハッ、オレが何も考えないで言ってると思う? オレの脳内は常にロマンとピンクと、どうやって名前の心の奥の奥――理性の扉を解放し淫乱ガールにせしめるか、の三つでいっぱいだからな!」
「!? あ、えと……っ」
「チッ、だからいちいち反応すんじゃねエッ!! あと、テメーはそんなことしか考えられねーのか!?」
まさか自分が出てくるとは思わなかったらしい。
顔を真っ赤にする少女を一瞥して、ギアッチョがテーブルにあったカードを下へと撒き散らす。
もちろん、珍しくホルマジオに勝てそうだったイルーゾォから非難の声が上がったのは言うまでもない。
「ふっふっふ……そうやってオレにキレられるのも今のうちだぜ、ギアッチョォ……。なんて言ったって今日の勝者には――」
「≪名前とのキッス≫が待ってるんだからなッ!!!」
「は?」
「……え?」
「!?」
「「「「「「な……ッ何ィィィィイイ!?」」」」」」
彼らの歓喜のこもった雄叫びは、アジトの外にまで轟いたようだった。
その後、一番冷静だった名前が眉尻を下げて、おずおずと口を開く。
「あ、あの、メローネさん? どうして、私が――」
「おっと、君も興味深そうにしてたんだし、今更やめるのはなしだぜ、名前! まあ、安心してよ……≪それ以上のこと≫にはならないからさ。とは言っても、キスする≪回数≫や≪場所≫は勝者の自由だけどね!」
(((((ガタッ)))))
動揺を隠せない彼女の周りで、ますます目が血走る男たち。
それは、
――オレ以外の男が名前とキスなど、言語道断だッ! だが……名前とキス、名前と数えきれないほどキス、名前と濃厚なキス……!
いつも唇を重ねているはずの男も、
――どこでもイイ、か。つまり、普段は隠している胸や下にもry(強制終了)。
先程はゲーム自体を拒否していた男も同じだった。
ちなみに、これを提案した張本人はというと――
「(ああ……名前にオレの反り立った息子を晒して、その先にキスさせたい……きっと伏せ目がちで恥ずかしそうにしながら、真っ赤な果実みたいに色づいた小さな唇を近付けて……)ハァ、ハァ……ベネ……ッ」
ひどい妄想に耽っていた。
こうして、≪カードを取り換えるのは一回限り≫、≪ワンゲームにつき一番弱い役だった人が降りていく≫という簡単なルールで、テーブルを囲んだ男たちの熱き戦いが始まろうとした、が。
「テメーらじゃ、ポーカーの雰囲気すら決まりやしねえ。ここはオレが――」
「「「「「ちょっと待ったァァアア!」」」」」
トランプを配るディーラーを誰がやるか、で問題は発生する。
飄々とカードを手に取ったプロシュートに、皆が口々に異議を唱えた。
それはもちろん、誰がやろうとしても同じことで。
結果、白羽の矢が立ったのが――
「わ、私ですか?」
言わばこのゲームの賞品であり、全員に対して公平である名前だった。
一人五枚ずつ配ればいい。
そうわかっていても、当然だが戸惑ってしまう。
とりあえず、ホルマジオに応援されながら52枚のトランプカードを受け取り丁寧に繰っていると、突然メローネがカッと目を見開いた。
「ね、ねえ! 今の名前、バニーガールがベリッシモ似合いそうじゃない!?」
「! わ……っ」
「ちょ、メローネ! 名前をこれ以上動揺させないであげてよ……そりゃ似合うだろうけど」
バラバラバラ
少女の手からこぼれ落ちた数枚のカードを受け止めつつ、イルーゾォが眉をひそめて諌める。
しかし、当の本人はおかまいなしだ。
「わかってないなあ、イルーゾォは……アイデアは思い出以上に強く浮かんではあっさりと消えるんだ。つまり、いつ言うの。今でしょ!? 可愛い真っ黒のうさ耳、肩や首筋をより強調する蝶ネクタイ、身体のラインがはっきりと出るレオタード……ッああ、腰を振ることがあれば、白く丸い尻尾がふりふり動いて超エロ――グエッ」
「テメーの妄想は聞いてねえんだよ、クソがッ! オイ、実際にその≪バニーガール≫とやらの服がここにあるわけじゃあねえんだ。コイツがくたばってるうちに配っちまえ!」
「は、はい!」
急かされるのは困るが、助かった。
ホッと息をついた彼女がイルーゾォに礼を言って、もう一度挑戦しようと手を動かし始める。
すると――
「……その衣装、≪ある≫と言ったら?」
「え……ッ!?」
バラバラバラバラ
今度はペッシの悲鳴と共に落ちていくカード。
それを気にする余裕すらないのか、こちらをただただ凝視する名前に、発言者であるリゾットは微かに笑い――
「冗談だ」
「じょ、冗談ですか……(よかった)」
「……ただ、購入する予定もなくはな――グッ!?」
「「大概にしろッ!!」」
次の瞬間、年長組二人に拳骨という名の制裁を受けた。
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