しかし。



「はぁっ、はっ、く……やぁあっ」


「おいおい、どうした？　力、入らねえのか？」


「！」



親指と人差し指に赤く尖った乳首を摘ままれ、快感で震え出す膝。


せめて、図星とバレてはいけない。

口を噤み首を横へ振ったが、そんな嘘がプロシュートに通用するはずもなく。



「ククッ……つい一時間ほど前にターゲットの男を蹴り飛ばして、背負い投げしてた女とは思えねえなあ？」


「ッ……うる、っさい……あん！」


「ハン、口と身体が別モンみてえだな……そういう強情なとこも、好きだぜ」


「ぁっ、あ……やら、そこ見えちゃ、っ」



突起を押し潰しながら、甘く香る首筋へ唇を当てる。

そして、咲き始めた赤い華に口端を吊り上げながら、男はもはや抵抗すらできなくなっている名前の身体を右手で弄り始めた。



「はぁ、はっ、あ……ッ、ぬるぬる、してやあ……！」


「ふ、オレはただ余ったボディソープで、名前の身体を洗ってやってるだけだ…………ん？」



鎖骨、胸、脇腹、太腿、内腿――と泡に負けないほど白く滑らかな肌を堪能しつつ、彼は当然のごとく肉厚に隠れた秘部へ指を伸ばす。

すると――感じたのはボディソープでも水でもない、ぬるりとした液体。


「……なんだ、感じたのか？」


「！　ち、ちが……ぁあっ」


「ま、違うなら違うでいいんだけどよ……ココも洗ってやる」


「ぁ、っや、はぁっ……」



花弁を指先で拡げ、存在を主張する陰核を擦る。

ドプリと溢れ出した愛液は、止まることを知らない。

その膣口に己の中指を咥え込ませながら、プロシュートが嘲るように笑った。



「クク……お前の腰、揺れてんぞ。そんなに気持ちいいか？　え？」


「はっ、はぁ、ッやあ……言わな、でぇ……、んんッ」



快感と羞恥。

心を占めてしまいそうな前者に、名前は力の入らない左手に鞭を打って、そそくさと口元を隠す。


「ん、っふ……んん、ぁっ！？」


しかし、あっという間に後ろから手首を掴み上げられ、浴室に再び響く嬌声。



「名前。今更声を抑えようとか考えてんじゃあねえよ」


「ッ……ら、って……らってぇ！！」


「ハン、どうせ外とか気にしてんだろ？　もう夜中だ。あいつらも寝てる……(たぶんだが)」


「あ、んっ……ほん、と？」


「ああ」



――だから、存分にイけよ。

刹那、親指が腫れ上がった陰核を、中指と人差し指が膣内の弱点を掠め――


「ひぁ、あああっ！？」


全身を電撃が走り、絶頂を迎えた名前。

くたりとなるその身体をしっかりと支えたプロシュートは、荒い息の彼女をこちらへ向かせる。



「は、っはぁ……ぷろ、しゅーと……？」


「名前、わかってるよな？」


「っ、……(コクン)」



おずおずと男の首へと回す両腕。

それを肌で感じ取った彼は、蕩けきった顔の名前の唇をさっと己ので塞いだ。

額を合わせ、紡ぎ出す愛の言葉。

そして、白く柔らかな左右の太腿を抱え上げ、まだかまだかと待ちわびる互いの性器を荒々しく密着させた。


ズブリとナカを埋め尽くすモノ。

悦びで肉襞が蠢く。


「ぁあ、っあ、ぷろしゅー、との……あついぃ……！」


「ッ、は……熱いの好きだもんな、お前！」



一物の先まで引き離されたかと思えば、凶器のように最奥を貫かれた。

その動きに、彼女はされるがまま啼き、目の前のプロシュートへ縋り付く。

だから、自分の行動が彼の独占欲を満たし、同時に加虐心を掻き立てているとは知らない。



「はぁ、あっ、ぁ……グリグリ、しな、で、ぇ……やあっ」


「ハン！　自分から腰振っといてよく言うぜ……、ッ」


「っぁ、やら、っ、やら……！」


「ククッ……すげえ音」



グチュリグチュリと、嫌でも響き渡ってしまう淫靡な音。

恥骨をゴリゴリと攻め立てるように穿てば、さらに小刻みに震え出す肢体。

訪れたのは、限界。


「やぁっ、はっ……あん！　ソコ、突いちゃ、……っぁあ」


「ッ、名前……そろそろ、ナカに出すから、な……！」


「んっ、ぁっ、あっ……いい、よ……出して、ぇっ」


より激しくなる律動。

結合部から飛び散る、どちらのモノかもわからない液体。

そして――


「く……ッ」


「ぁ、やらっ、またイっちゃ……、やあああ……ッ！」



脳髄が掻き混ぜられたかのように、ぐるぐるする。

臀部を両手で固定され、子宮に注がれる彼の子種をありありと感じながら、彼女の意識は遠退いて行った。












「ん、……？」


静かに瞼を開くと、覆い尽くす見慣れた天井。

なぜか身体は異常に重い。


――どうして私、プロシュートの部屋に……。



「よお、お目覚めか？」


「？」



ゆっくりと声の聞こえた方――右へ顔を動かせば、優しく自分の髪をなでる恋人が。

その表情は、なぜか呆れと心配が入り混じっている。


「ったく、イったかと思えばそのままぶっ倒れやがって……頭痛くねえか？」


「う、ん。だいじょう、ぶ」


そうか、自分は倒れたのか。

どうりで記憶が飛んでいる――穏やかな口調に頷いてから、状況を把握した名前はおもむろに唇を開いた。


「プロシュート……ごめん、ね？」


「あ？　何に謝ってんだよ」


「運ぶの大変だったんだろうな……って」



眉尻を下げ、プロシュートを見つめる。

すると、視界に映ったのはいつになく神妙な表情。



「……確かにそうだな。誰にも見られることなくお前を運んだオレを労わってもらわねえと」


「？　あ……っ」


起き上がったな――と他人事のように眺めていると、あっという間にこちらへ覆い被さる男。

吸い込まれそうなその瞳から溢れ出す、情欲。

自然と、落ち着きを取り戻していた心臓は再び早めのテンポを刻み始めた。



「名前……お前もまだ、足りねえだろ？」


「……もう。あまり激しく、しないでね？」


これでも倒れた身なんだから。

そう呟き苦笑と共に見上げれば、優しくもあり同時に艶やかでもある笑みを浮かべながら、彼は言い放つ。


「ハン……その言葉、≪頭の隅には≫置いといてやるよ」


刹那、腰へ添えられるプロシュートの大きな手のひら。

その妙なやらしさに、名前は自分の希望が叶えられないであろうことを漠然と悟った。









Tempo di un bagno
≪お風呂の時間≫でさえも、彼次第。




〜おまけ〜



翌朝。


「ふああ……あんまり寝られなかった……。ん、おはよう、ペッシ」


「！　お、おおおはようございます！　姉御ッ！」


「いや、姉御はやめて……って、あれ？」



目の前から消えたペッシに首をかしげていると、メローネがなぜかにやにやした笑みで近付いてきた。


「やあ名前！　昨日は本当にありがとう！　楽しませてもらったよ」


「？　どういたしまして？」



何かしたっけ――ますます頭上に浮かぶはてなマーク。

その後も、イルーゾォには素通りされ、ホルマジオには苦笑されながら頭をなでられ、ギアッチョには顔を赤くされてしまった。

リビングに集まった皆の共通点は、目の下にひどいクマができていること。



「名前」


「あ、おはようリーダー……なんだかリビングが気まずいムードなんだけど、私何かしたのかな？」



しゅんと項垂れる名前。

その姿を一瞥したリゾットは、思い出しかけた昨晩の記憶を即座に捨て去り、なんとか保った真顔で口を開いた。



「……昨日は全員入った後だったからな。お前たちが、風呂と称してそこで何をしようとも構わない」


「え。それってどういう――」


「だが、浴室での≪喘ぎ声≫はできる限り控えるように。今日のように全員が全員、同じ理由で寝不足になることは避けたい……いいな？」


「！？」



もちろん、プロシュートは頬をこれでもかと言うほど赤く染めた彼女に接触禁止命令を下されたらしい。

そしてこちらも当然だが、実は≪名前溺愛人間≫で知られるこの男の我慢が続くはずもなく、その日のうちに約束は破られてしまったそうだ(ペッシ談)。










お待たせいたしました！
兄貴でお風呂の甘裏でした。
38様、リクエストとメッセージありがとうございました！
これからも、精進して参ります！
ちなみに、本文で出てきた「tesoro mio」は私の宝物、だそうです。


感想＆手直しのご希望がございましたら、お願いします。
Grazie mille!!
polka